4.5インチ マーク 8 艦砲

4.5インチ艦砲Mk.8の概要

4.5インチ艦砲Mk.8は、イギリス海軍の主要な艦砲システムの一つで、主に防空任務に用いられる両用砲です。この砲は、直径114mmの弾を発射し、軽量の単装砲塔に搭載されています。ユニークな点は、SFコメディドラマ「宇宙船レッド・ドワーフ号」のキャラクター、クライテンにちなんで「クライテン・ガン」と呼ばれることがあることです。

歴史的背景

この砲は1960年代にイギリス海軍の82型駆逐艦用として開発されました。もともとは従来型の45口径11.4cm連装砲（QF 4.5インチ砲Mk.V）が搭載される計画でしたが、1964年に設計変更され、より軽量で効果的な新型砲が選ばれました。当初、ヴィッカース社が105mm艦砲を提案しましたが、それは採用されず、最終的にMk.8が選ばれることとなりました。設計は1965年から始まり、1966年にはプロトタイプが完成し、翌年からイギリス海軍やイラン海軍向けに生産が始まりました。

設計の特徴

砲部の設計

4.5インチ艦砲Mk.8は、アボット自走砲を基にした105mm榴弾砲の大口径版として設計されました。マズルブレーキや排煙器といった先進的な技術を取り入れており、艦砲としては珍しい装備となっています。軽量化が進められた結果、砲身と尾栓機構の総重量は2400kgという軽さを実現しています。発射速度の向上はあまり重視されず、特に即応性の向上が至上命題として捉えられ、約10秒で発射準備が整う能力を有しています。

砲塔

砲塔はガラス繊維強化プラスチック製で、防御用というよりは風雨からの保護が主な用途です。砲塔内は無人設計ですが、後方にはアクセスハッチが設けられています。旋回や俯仰の動作は電動式で、砲塔下部には動力機構が配置されているため、重さを抑える工夫があります。全備重量は約25.75トンで、従来型の半分程度に軽減されています。

給弾機構

弾薬の供給は下部給弾方式を採用しており、砲塔下部には常時15発の弾薬が用意されています。これらは2名の給弾手によって装填され、最低限で4人の運用要員が必要です。装填機構には油圧式から電動式への移行が進められており、より軽量で効率的なシステムとなっています。弾薬自体は専用設計で、従来型との互換性はなく、21kgの弾頭を用いた様々な種類に対応しています。

諸元と性能

この砲は、口径113mmの艦載型後装式ライフル砲であり、最大射程は通常弾で約21,950m、特別な弾で27,000mに達します。発射速度は最大25発/分とされています。多様な戦術要求に応えるため、数多くの型式が開発され、長年にわたりイギリス海軍で使用されています。

運用と継続的な発展

Mk.8の開発は1967年から2012年まで続き、イギリス海軍の主要な防衛力の一端を担ってきました。その高い性能と柔軟性により、今もなお多くの艦艇で運用され続けています。この艦砲は、現代の海上作戦において欠かせない存在であり、これからのさらなる改良や進化にも期待が寄せられています。

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