46番目の密室

46番目の密室

有栖川有栖による推理小説『46番目の密室』は、作家アリスシリーズの記念すべき第一作です。本作は、巧妙な密室トリックと、登場人物たちの複雑な人間関係が絡み合う、本格ミステリーの魅力を凝縮した作品として、多くの読者を魅了し続けています。

あらすじ

1991年のクリスマス、作家である有栖川有栖（アリス）は、犯罪学者である親友の火村英生と共に、北軽井沢の別荘へと向かいます。そこで彼らを待っていたのは、〈密室の巨匠〉として知られる推理作家、真壁聖一が主催する集まりでした。真壁は、これまでに45もの密室トリックを発表し、その才能から〈日本のディクスン・カー〉とも称されています。

夕食の席で、真壁は現在執筆中の作品が、自身にとって最後の密室ものとなることを宣言します。それは事実上の引退宣言でした。しかし翌朝、真壁は密室状態の部屋の中で、暖炉に頭部を突っ込んだ状態で発見されます。果たして真壁は、自らが考案した46番目の密室の中で死んだのでしょうか？

アリスと火村は、事件の真相を解き明かすために、複雑に絡み合った人間関係と、巧妙に仕組まれたトリックに挑みます。

登場人物

火村 英生（ひむら ひでお）
臨床犯罪学者。英都大学社会学部の助教授。犯罪社会学の講座を担当。「人を殺したい」という衝動を持つという特異な動機から犯罪に興味を持つ。京都の下宿で一人暮らし。

有栖川 有栖（ありすがわ ありす）
推理作家。火村とは学生時代からの友人で、本名。大阪在住。

真壁 聖一（まかべ せいいち）
“密室の巨匠”と呼ばれる推理作家。デビュー以来、数々の密室トリック作品を発表。今作を最後に密室ものからの引退を宣言。

真壁 佐智子（まかべ さちこ）
聖一の妹。バツイチ。

真壁 真帆（まかべ まほ）
佐智子の娘。高校生。

檜垣 光司（ひがき こうじ）
真壁の同居人。過去の火災で父親を亡くし、真壁に引き取られた。

高橋 風子（たかはし かぜこ）
推理作家。通称・フーコ。

石町 慶太（いしまち けいた）
推理作家。トリッキーな本格ものが得意。

杉井 陽二（すぎい ようじ）
真壁の担当編集者。大手出版社勤務。

船沢 辰彦（ふなさわ たつひこ）
真壁の担当編集者。出版社・珀友社勤務。

安永 彩子（やすなが さいこ）
ブラック書院の編集者。

鵜飼（うかい）
群馬県警警視。

大崎（おおさき）
長野原署警部。

書籍情報

講談社ノベルス：1992年3月5日発行、ISBN 4-06-181608-X
講談社文庫：1995年3月15日発行、ISBN 4-06-185896-3
講談社文庫《新装版》：2009年8月12日発行、ISBN 978-4-06-276427-8
角川ビーンズ文庫：2012年10月1日発行、ISBN 978-4-04-100511-8
単行本《限定愛蔵版》：2019年9月26日発売、ISBN 978-4-06-516688-8

その他

本作はドラマCD化、舞台化もされています。

ドラマCD
2010年8月13日にモモグレより発売。
神谷浩史、鈴村健一などの人気声優が出演。

舞台
本格ミステリー歌劇『46番目の密室』として2023年10月に上演。
井澤勇貴、矢田悠祐などが出演。

『46番目の密室』は、緻密なトリック、魅力的なキャラクター、そして予想を裏切る展開が組み合わさった、本格ミステリーの傑作です。有栖川有栖作品のファンはもちろん、ミステリー愛好家ならば必読の一冊と言えるでしょう。

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