461 オーシャン・ブールヴァード

解説

ギタリスト、エリック・クラプトンが1974年に発表したアルバム『461 オーシャン・ブールヴァード』は、彼のキャリアにおいて重要な転換点となった作品です。

デレク・アンド・ザ・ドミノス名義で発表した金字塔『いとしのレイラ・アンド・アザー・アソート・ラヴ・ソングス』からおよそ4年の時を経てリリースされたこのアルバムは、久々にスタジオでレコーディングされたソロ名義の作品でした。（この間には、デレク・アンド・ザ・ドミノスとソロ、それぞれ1枚ずつのライブ盤がリリースされています）。

リリースされるや否や、本作は全米チャートの首位を獲得する大成功を収め、薬物依存などによる低迷から脱したクラプトンの鮮やかな「復活」を印象づけました。この成功により、彼は再びロックシーンの最前線へと返り咲いたのです。

アルバムタイトルの『461 オーシャン・ブールヴァード』は、レコーディング期間中にクラプトン自身がフロリダ州ゴールデンビーチに借りて住んでいた住宅の実際の住所に由来しています。しかし、この住所がアルバム名として公になったことで、発売後にはファンがその場所に押し寄せるようになり、結果としてクラプトンは別の場所へ引っ越さざるを得なくなったという逸話が残されています。

音楽的内容としては、ブルースを基調としながらも、レゲエやR&B、スワンプ・ロックなど多様な要素を取り入れた、それまでの彼の作品とは一線を画すサウンドが特徴です。

特に、レゲエの神様ボブ・マーリーの楽曲をカバーした「アイ・ショット・ザ・シェリフ」はシングルカットされ、全米シングルチャートで1位を獲得する驚異的なヒットとなりました。また、ブルースの巨匠ロバート・ジョンソンの「ステディ・ローリン・マン」といったブルース・スタンダードのカバーも収録されており、彼のルーツへの敬意も示されています。

本作は音楽評論家からも高く評価されており、著名な音楽雑誌『ローリング・ストーン』が選出した「オールタイム・ベストアルバム500」では、411位にランクインしています。

発表から30周年を迎えた2004年には、アルバム制作時の未発表テイクや、1974年12月に行われたロンドン公演のライブ音源を追加収録した2枚組の「デラックス・エディション」が発売され、改めてこの名盤に光が当てられました。

本作のレコーディングには、クラプトン（ドブロ・ギター、ギター、ボーカル、アレンジ）を中心に、イヴォンヌ・エリマン（ボーカル、バック・コーラス）、アルビー・ガルテン（オルガン、シンセサイザー、ピアノ、クラビコード、エレクトリックピアノ）、ディック・シムズ（キーボード）、ジョージ・テリー（ギター、バック・コーラス）、カール・レイドル（ベース、アレンジ）、ジェイミー・オールディカー（ドラムス、パーカッション）ら、後のクラプトンのバンドを支えることになる実力派ミュージシャンが集結しました。彼らのアンサンブルが、本作の温かくリラックスしたサウンドを作り上げています。

収録曲

Side 1
マザーレス・チルドレン - Motherless Children (Traditional)
ギヴ・ミー・ストレングス - Give Me Strength (Eric Clapton)
ウィリー・アンド・ザ・ハンド・ジャイヴ - Willie and the Hand Jive (Johnny Otis)
ゲッド・レディ - Get Ready (E. Clapton, Yvonne Elliman)
アイ・ショット・ザ・シェリフ - I Shot the Sheriff (Bob Marley)

Side 2
アイ・キャント・ホールド・アウト - I Can't Hold Out (Elmore James)
プリーズ・ビー・ウィズ・ミー - Please Be With Me (Boyer)
レット・イット・グロウ - Let It Grow (E. Clapton)
ステディ・ローリン・マン - Steady Rollin' Man (Robert Johnson)
メインライン・フロリダ - Mainline Florida (George Terry)

デラックス・エディション追加収録曲 (Disc 1)
ウォーキン・ダウン・ザ・ロード - Walkin' Down the Road
エイント・ザット・ラビング・ユー - Ain't That Loving You
ミート・ミー - Meet Me
エリック・アフター・アワー・ブルース - Eric After Hour Blues
ビーマイナー・ジャム - B-Minor Jam

デラックス・エディション追加収録曲 (Disc 2: Live at Hammersmith Odeon, December 1974)
スマイル - Smile
レット・イット・グロウ - Let It Grow
キャント・ファインド・マイ・ウェイ・ホーム - Can't Find My Way Home
アイ・ショット・ザ・シェリフ - I Shot the Sheriff
テル・ザ・トゥルース - Tell the Truth
ザ・スカイ・イズ・クライング / ハブ・ユー・エヴァ・ラブド・ア・ウーマン / ランブリング・オン・マイ・マインド - The Sky Is Crying / Have You Ever Loved a Woman / Rambling On My Mind
リトル・ウィング - Little Wing
シンギン・ザ・ブルース - Singin' the Blues
バッジ - Badge
レイラ - Layla
レット・イット・レイン - Let It Rain

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