5フィート6インチ軌間

1676mm軌間（5フィート6インチ軌間）とは

1676mm軌間は、広軌の一種であり、その名の通り線路の幅が1676mm（5フィート6インチ）である鉄道を指します。この軌間は、インド亜大陸を中心に、一部の南米、北米地域でも採用されてきました。現在、一般の乗客が利用できる鉄道では世界で最も広い軌間となっています。

主な採用地域

現在、1676mm軌間が主に採用されている地域は以下の通りです。

アジア：インド、パキスタン、バングラデシュ西部、スリランカ
南米：アルゼンチン、チリ
北米：アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリア（BART）

歴史

アジア

インド: 1850年代にグレートインディアン半島鉄道が、インド初の旅客鉄道に1676mm軌間を採用したことが始まりです。その後、この軌間はインド全国の鉄道網の標準として普及しました。現在では、120,000kmを超える広大な路線網が1676mm軌間で運行しています。狭軌からの改軌も進められ、高速輸送路線の一部でも使用されています。
バングラデシュ: ブラマプトラ川（ジャムナ川）を境に、西側では1676mm軌間、東側ではメーターゲージが採用されています。両方の路線網を結ぶボンゴボンドゥ橋では、三線軌条が使用されています。
パキスタン: 現在、国内の営業路線は全て1676mmの広軌で運行されています。
スリランカ: 現在、国内の営業路線は全て1676mmの広軌で運行されています。

ヨーロッパ

イギリス: スコットランドで短期間使用されたことがありますが、後に標準軌に改軌されました。

北米

カナダ: 1850年代にイギリスの植民地であったカナダでは、当初1676mm軌間が使用されていましたが、後に標準軌へ改軌されました。
アメリカ: ベイエリア高速輸送システム（BART）が、国内で唯一1676mm軌間を採用しています。過去には、ニューオーリンズ・オペルーサス・アンド・グレート・ウェスタン鉄道やテキサス・アンド・ニューオーリンズ鉄道などでも使用されていましたが、現在は改軌されています。

他の軌間との関係

1676mm軌間と非常に近い軌間として、イベリアゲージ（1668mm）があります。わずか8mmの違いであるため、車両の互換性があり、中古車両の購入も行われています。ただし、高速走行時の安定性や車軸の摩耗を考慮すると、注意が必要です。

1676mm軌間の鉄道一覧

運行中

インド鉄道
パキスタン鉄道
バングラデシュ鉄道の一部
スリランカ鉄道
アルゼンチン国鉄
チリの鉄道の一部
ベイエリア高速輸送システム（BART）

過去

ダンディー・アンド・アーブロース鉄道（スコットランド）
アーブロース・アンド・フォーファー鉄道（スコットランド）
グランド・トランク鉄道（カナダ、アメリカ）
ニューオーリンズ・オペルーサス・アンド・グレート・ウェスタン鉄道（アメリカ）
テキサス・アンド・ニューオーリンズ鉄道（アメリカ）

まとめ

1676mm軌間は、その広さから安定性がある一方、建設コストがかかるなどの理由から、現在では標準軌が主流となっています。しかし、インド亜大陸を中心に、広大なネットワークを形成しており、今もなお多くの人々が利用しています。過去には、北米でも利用されていましたが、標準軌への移行が進み、現在では一部地域でのみ見られる軌間となっています。

関連項目

広軌
保存鉄道
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