5号機 (パチスロ)

パチスロ5号機：進化と規制の歴史

パチスロ5号機は、2004年7月1日の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律改正に伴い、保安通信協会等の指定試験機関による型式試験に合格したパチスロ機を指します。2005年に導入開始され、2022年1月末までに撤去されました。本記事では、5号機の全貌を、その歴史的背景、機種の種類、規制の変遷、そして技術的な特徴という観点から詳細に解説します。

5号機の種類

5号機は、そのゲーム性から大きく以下の種類に分類されます。

ノーマルタイプ(Aタイプ): ボーナスのみでコインを増やす伝統的なタイプ。天井機能やリプレイタイム(RT)機能を搭載した機種も存在しました。
RT機: ボーナスとRT機能を組み合わせ、コイン持ちを良くすることで、ボーナス成立時の連チャン感を演出するタイプ。
ART機: リプレイ確率を高め、押し順ベルなどでコインを増やすART(アシストリプレイタイム)機能が中心のタイプ。ボーナスとARTを併せ持つ「A+ART機」も存在しました。
AT機: 通常時は小役が揃いにくいものの、AT(アシストタイム)突入時に高確率で小役が揃うタイプ。高純増が特徴で、5号機後期に主流となりました。
* リノタイプ: 特定条件でボーナスが連チャンする仕組みを搭載したタイプ。リノ(山佐)という機種で初めて採用されたことから、この名前で呼ばれています。

5.5号機以降は、AT機を除く4種類が中心となりました。

5号機の歴史

5号機初期

4号機時代の高射幸性を反省し、リプレイはずし、大量獲得、高純増AT機、ストック機などが事実上禁止されました。出玉面での規制強化により、短時間で大量獲得は困難になりました。そのため、初期の5号機は通常時のコイン持ちを良くし、ボーナス確率を下げることで規制に適合する機種が多かったです。設定差によるコイン持ちの調整も一般的でした。RTやAT機能は、コインの減りを緩和し、ボーナス連チャン感を演出する役割を果たしました。

また、4号機で主流だったボーナスストックは認められず、代わりに一定ゲーム数でRTやATが発動する「天井」機能が採用されるようになりました。出玉性能の弱さを補うため、液晶画面搭載機種が主流となり、アニメタイアップ機や萌えスロも増加しました。初期の5号機は、完全確率抽選によるボーナス当選のため、設定通りの出玉になりやすく、設定判別が容易になったと言われています。

リプパンはずし

2006年後半以降、RTを終了させない打ち方(リプパンはずし)で出玉率を上げる機種が登場しました。しかし、2007年9月に検定方法が変更され、対策されました。ART機能が中心となり始めました。

規制緩和とART機の台頭

2007年、警察庁による規制緩和が行われました。これにより、フリーズ演出、リール回転順の変化などが可能になりました。ART機は、押し順ナビでRTに突入したり、小役を自動で獲得する機能を持つようになり、ライト層にも受け入れられ、ホールでの比率が高まりました。2010年には、ボーナス非搭載のART機も登場し、ARTのみで万枚達成も可能な機種も現れました。ART機の純増枚数も徐々に増加していきました。

ART機からAT機へ

2012年、通常時ほぼ小役が揃わないものの、リプレイ確率を高めてコイン持ちを維持するAT機が登場しました。0枚ボーナス(ゼロボーナス)の導入により、出玉率上限クリアが可能になり、AT機の純増枚数は2.5枚～2.8枚にまで向上しました。2013年には、AT機が主流となりました。さらに、2014年にはアクセルAT機が登場し、純増枚数は3.0枚にまで増加しました。しかし、高射幸性化やゲームバランスの崩壊などの問題から、AT機への規制が強化されました。

型式試験変更と高ベースAT機

2014年9月、型式試験の見直しが行われ、最も出玉率が低くなる打ち方でも長期出玉率の下限55%を維持する試験方式に変更されました。これにより、従来のAT機は開発できなくなり、順押しでも小役が揃う高ベースAT機が開発されました。

5.5号機の登場

高ベースAT機の問題を受けて、2015年7月、自主規制案が発表されました。主な内容は、通常遊技中の最低シミュレーション出玉率1未満、純増枚数2.0枚未満、指示機能の管理基板をメイン基板に移行などです。これにより、検定通過機種を「5.5号機」と呼びました。しかし、5.5号機は出玉性能が悪く、ホール、ユーザー双方から支持されませんでした。

5.9号機への移行

2016年6月、5.5号機に更なる規制を加えた「5.9号機」が導入されました。「有利区間」と「通常区間」の概念導入、有利区間滞在比率70%制限、役比モニタ導入などが主な規制です。ノーマル機やA+RT機が主流となりましたが、ディスクアップ(銀座)は独自のゲームシステムで高い支持を受けました。

5号機の終焉

2018年2月1日、「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」が改正され、2022年1月末までに5号機は撤去されました。

5号機の技術的な特徴

リール図柄と条件装置

図柄は機種あたり10種類まで。1つのフラグと1つの揃う図柄が1対1に対応します。フラグの重複当選が可能になりました。

リール制御

1つのフラグの組み合わせに対し1本の制御のみ。しかし、小役成立によるチャンス告知などの演出が可能になりました。複数のフラグ同時成立時は、組み合わせによる異なる制御も可能になりました。リプレイ＞ボーナス＞小役（規制緩和後はリプレイ＞小役＞ボーナスも可能）の優先順位があります。

小役

「一つのフラグに対する同じ性能を持つ複数の図柄の割り当て」が可能になり、4号機にあった「押し順式アシスト」が可能になりました。

リール配列

当選フラグの対応図柄が揃った際に、成立していないフラグの対応図柄が揃ったり、成立していない小役の対応図柄が有効ラインに残るような配列は認められません。

ボーナス

5号機では、シングルボーナス(SIN)、レギュラーボーナス(RB)、チャレンジボーナス(CB)、ビッグボーナス(BIG)、[チャレンジタイム]の5種類のボーナスが認められています。ボーナスストックは禁止されています。

出玉率

4号機に加え、400Gで300%未満、6000Gで150%未満の制約が追加されました。リプレイはOUT枚数0枚、次ゲームIN枚数0枚として計算されます。

保通協における出玉試験

実機による試射試験に加え、シミュレーション試験が導入されました。

設定

設定数は6段階まで可能となりました。

アシスト

4号機から継承されましたが、出玉率上限に配慮する必要がありました。

リール演出

リール回転中～払い出し終了間の消灯や点滅、リール前面演出は禁止されました。ただし、2008年3月の規制緩和で、バウンドストップ、ウエイト中のスルースタート、フリーズ演出などが可能になりました。

まとめ

パチスロ5号機は、規制強化と緩和、技術革新を繰り返しながら進化を遂げました。その歴史は、パチスロ業界の変遷を象徴するものであり、多くのプレイヤーに思い出深い機種が数多く存在します。 本稿が、5号機への理解を深める一助となれば幸いです。

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