5.45x39mm弾

5.45x39mm弾

5.45x39mm弾は、ソビエト連邦で開発された小火器用の実包であり、中間弾薬としての性質を持つ小口径高速弾です。西側の5.56x45mm NATO弾に対抗する目的で開発されました。

概要

この実包は、スチール・コア（鋼製弾芯）弾を採用しており、その特性から「ポイズン・ブレット（毒の弾）」という通称で呼ばれることがあります。この弾薬の開発と同時に、AK-74が開発されました。

歴史

以前のAK-47で使用されていた7.62×39mm弾は、高い殺傷能力を持っていましたが、連発時の反動が強く、着弾点が安定しないという欠点がありました。一方、M16で使用されている5.56×45mm弾は、口径が小さく、弾頭が軽量であるため、射撃時の反動が比較的小さく、命中精度も安定しており、有効射程も長いという利点がありました。

これらの小口径弾の利点が世界的に広まるにつれて、ソビエト連邦も開発を進めました。当時のAKシリーズの設計者であったミハイル・カラシニコフは、弾薬の小口径化には反対でしたが、1974年にはAK-74が完成しました。

ソ連製の小火器と同様に、5.45x39mm弾とその使用銃器は同盟国にも供与またはライセンス生産が認められました。しかし、アフリカや中東、アジア地域には、AK-74の配備によって余剰となったAK-47やAKMが供与されました。また、旧式のAK-47やAKMとは弾薬の互換性がないため、従来の弾薬の在庫廃棄や弾薬製造ラインの大幅な改修が必要となりました。そのため、AK-74を使用しているのは旧ソ連構成国や旧ワルシャ条約機構以外では、キューバやアンゴラ、シリア、モンゴル、北朝鮮など比較的少数に留まっており、AK-47やAKMに比べると普及度は低いのが現状です。

形状と殺傷能力

小口径化によって初速が向上し、貫通力が増しましたが、貫通力が高すぎると、人体などのソフト・ターゲットに命中した場合に弾丸が運動エネルギーを十分に消費できず、殺傷力が低下する可能性があります。そこで、弾頭の内部に空洞を設け、ソフト・ターゲットに命中した際に弾頭が横転する構造が採用されました。横転した弾頭は、ソフト・ターゲット内で回転運動を伴いながら進み、その運動エネルギーを十分に消費することができます。

人体に命中した場合、射入口は小さいものの、射出口は口径と比較して大きく、筋肉や血管を含む周辺組織に広範囲な損傷を与えるため、治療が困難になることがあります。1978年から1989年のアフガニスタン紛争に投入されたAK-74と5.45×39mm弾は、アフガニスタンの武装勢力から恐れられました。

この技術は西側にも影響を与え、現行の5.56x45mm NATO弾（SS109、M855）でも同様の構造が採用されています。

しかし、元傭兵の高部正樹氏の著書やアームズマガジンの記事によると、現地の非正規兵は7.62×39mm弾の方がマンストッピングパワーがあるとして好んで使用していたという証言があります。また、記事には5.45×39mm弾では数発命中しないと致命傷にならないという兵士の証言も掲載されています。

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