中間弾薬

中間弾薬とは

中間弾薬とは、拳銃弾と小銃弾の中間的な位置付けの実包の総称であり、アサルトライフルの要件の一つとなっています。

中間弾薬登場の背景

従来の小銃や機関銃で使用されていたフルサイズの弾薬、例えば.303ブリティッシュ（7.7x56mmR弾）、.30-06スプリングフィールド（7.62x63mm弾）、7.62x54mmR弾などは、10～12グラムの弾頭を750～850メートル毎秒という高速で射出する、初活力3,000～4,000ジュールという強力なものでした。

しかし、この強力さゆえに反動が大きく、肩付けでのフルオート射撃は非常に困難でした。一方、当時既に普及していた短機関銃は、個人で携行可能な自動火器として広く用いられていましたが、拳銃弾を使用するため、威力不足という問題がありました。

これらの問題を解決するため、両者の中間的な特性を持つ中間弾薬が各国で模索されるようになりました。

中間弾薬の開発

1930年代から各国で中間弾薬の開発が始まりました。

ドイツ: 1934年から1935年にかけてグスタフ・ゲンショウ社（GECO）が7.75x39mm弾を、1938年からはポルテ社が7.92x33mm弾を開発しました。
ソビエト連邦: 1943年には7.62x39mm弾が開発されました。
イギリス: .280ブリティッシュ（7×43mm）弾を開発しましたが、1954年にアメリカ合衆国の主張により7.62x51mm弾がNATO標準弾薬として採用されたため、この時点では実現しませんでした。

しかしその後、アメリカ軍と銃器産業では小口径高速弾というコンセプトが注目されるようになり、1963年には5.56x45mm弾（.223レミントン弾）が制式化され、1980年にはその改良型のSS109弾が第二のNATO弾として採択されました。

中間弾薬の種類

中間弾薬とされるものには、以下のようなものがあります。

短小弾
7.92x33mm弾
7.62x33mm弾
7.62x39mm弾
7.62x45mm弾
小口径高速弾
5.56x45mm弾
6.8x43mm弾
5.45x39mm弾
5.8x42mm弾

また、大日本帝国陸軍が採用していた三八式実包（6.5x50mmSR）は、フェドロフM1916において採用されており、中間弾薬としての性質を持っていたとも言えます。

中間弾薬の意義

中間弾薬の開発は、アサルトライフルの誕生と普及に大きく貢献しました。フルサイズ弾薬の反動を抑えつつ、拳銃弾よりも高い威力を持つ中間弾薬は、歩兵が携行する火器として最適であり、現代の軍隊における標準的な小銃弾薬となっています。

まとめ

中間弾薬は、小銃弾と拳銃弾の中間的な特性を持つ弾薬であり、アサルトライフルの開発において重要な役割を果たしました。その登場は、歩兵の戦闘能力を大きく向上させることにつながりました。

参考文献

小林宏明『歴群図解マスター 銃』学研パブリッシング、2010年。ISBN 978-4054046535。
McNab, Chris『ミニミ軽機関銃－最強の分隊支援火器』床井雅美 (監修), 加藤喬 (翻訳)、並木書房〈Osprey Weapon Series〉、2020年。ISBN 978-4890633999。
Rottman, Gordon L.『AK-47ライフル－最強のアサルト・ライフル』床井雅美 (監修), 加藤喬 (翻訳)、並木書房〈Osprey Weapon Series〉、2018年。ISBN 978-4890633708。

関連項目

* 分隊支援火器

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