51年綱領

51年綱領（51年テーゼ）の概要

51年綱領、またの名を51年テーゼは、1951年10月に日本共産党の第5回全国協議会（五全協）で策定された『日本共産党の当面の要求 - 新しい綱領』のことを指します。この綱領は、当時の党内の主流派である所感派によって主導されました。

背景

当時、日本共産党は外交や政治状況に対し敏感であり、特に“平和革命”を唱えていましたが、51年綱領ではこれを否定し、武装闘争の必要性を掲げました。具体的には、文書の中で「日本の解放と民主的変革を平和の手段によって達成しうると考えるのはまちがい」とし、暴力革命の実行を決定しました。また、同時に採択された『軍事方針』では、組織的な武装闘争の開始が宣言され、これに基づく事件が相次ぐことになります。

50年問題と党内対立

1950年に発生した「50年問題」を契機に、コミンフォルムによる批判が党内に混乱をもたらしました。この問題を受けて、日本共産党内では所感派と国際派の対立が激化。最終的には、党内混乱の解消を図る目的で所感派が主導権を握ることになりました。

所感派の台頭

1951年2月、所感派による第4回全国協議会が開催され、コミンフォルムからの支持を取り付けました。この結果、所感派は党内で議決と方針をまとめ、1951年10月に第5回全国協議会において51年綱領が正式に採択されました。この綱領では、日本を半封建的な植民地とし、米国帝国主義からの解放を目指すことが強調されました。

綱領の撤回と影響

1953年にスターリンが亡くなり、党内情勢も変化しました。日本共産党は1955年に行われた第6回全国協議会で武装闘争を振り返り、誤りであったと自己批判を行いますが、いったん評価を保ち続けました。さらに1962年の綱領集には51年綱領が収録されるなど、党の歴史において重要な位置を占めています。その後1970年代には暴力革命に対する見解を下方修正し、過去の武装闘争を否定する方針を採り始めます。

現代の日本共産党

1993年以降、日本共産党は51年綱領を『51年文書』と改称し、この文書に基づく批判を否定する姿勢を強めています。それらの行動に対する批判も根強く、特に警察庁などの治安当局からの視線は厳しいものがあります。それでも党は新たな方針を打ち出し続け、自己の政治信条と活動を進めていく姿勢を貫いています。

歴史的意義

51年綱領は日本共産党の歴史において重要なマイルストーンであり、その後の政党内の姿勢や外部からの批判、さらには社会に与えた影響を見ても、多大な意義を持っています。今日の日本における共産主義の位置づけや公党としての存在意義についても、引き続き問われています。

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