60式自走81mm迫撃砲

60式自走81mm迫撃砲

60式自走81mm迫撃砲は、陸上自衛隊が使用していた自走式迫撃砲で、その設計は60式装甲車を基盤としています。この迫撃砲は、主に地上戦における火力支援を目的として開発されました。

概要

この迫撃砲は、60式装甲車の試作型であるSU-II型を改良し、後部車体に81mm迫撃砲を搭載する形で製造されました。主要な製造業者には三菱重工業と小松製作所が名を連ねており、似た設計の60式自走107mm迫撃砲とは車体後部の形状が異なります。また、車体前面には7.62mm機関銃のマウントがあり、これによって外観でも簡単に識別できます。通常の迫撃砲射撃時には、車体後部の上面やドアを開放し、射撃を行うことが可能です。さらには、迫撃砲本体を地面に降ろしても射撃ができる設計となっており、射撃時には通常の迫撃砲に用いる底板と二脚も用意されていました。これらの装置は普段は車体前部に収納されていました。機関銃マウントについては、普段は機関銃を搭載せず、必要に応じての追加装備が想定されていたといいます。

開発経緯

この自走迫撃砲はもともと「試製56式自走81mm迫撃砲（SV）」と名付けられ、開発が進められました。初期の試作車では、小松製のSU-I型の車体を使用し、車体前部の機関銃マウントを撤去した構成となっていました。この当時、迫撃砲の台座から外に展開する支柱によって安定性と射撃精度を向上させる機構を備えていました。しかし、後の試作車では、三菱製のSU-II型の車体に変更され、支柱による安定機構は廃止されました。とはいえ、装甲車の重さを利用して高い射撃精度を実現し、試験でもその優れた性能が確認されました。

配備と運用

60式自走81mm迫撃砲は、自衛隊において早い段階で火砲の機械化を進めた先進的な装備でした。そのため、特に機甲部隊において重要な役割を果たしました。しかしその生産コストは高額であり、配備されたのは18両に過ぎず、北部方面隊の4個普通科連隊に分けて配置されていました。1990年代後半には老朽化が進み、96式自走120mm迫撃砲によって更新されたり、部隊から退役となるなどし、最終的に全車が除籍されました。

装備していた部隊

過去に60式自走81mm迫撃砲を装備していた部隊には、以下のような部隊が含まれます。

• - 第3普通科連隊：1992年ごろ81mm迫撃砲L16の導入に伴い廃止。
• - 第11普通科連隊：現在も存在。
• - 第23普通科連隊：部隊廃止により第11普通科連隊に装備移籍。
• - 第24普通科連隊：西部方面隊での配置換えで、第3普通科連隊に装備移籍。
• - 第7偵察隊：1992年ごろ81mm迫撃砲L16の導入に伴い廃止。

このように、60式自走81mm迫撃砲は陸上自衛隊において重要な役割を果たしていた火力支援装備でした。

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