96式自走120mm迫撃砲

96式自走120mm迫撃砲について

96式自走120mm迫撃砲（きゅうろくしきじそう120ミリはくげきほう）は、陸上自衛隊の装備の中でも特に注目を集める自走迫撃砲です。この車両は120mm迫撃砲 RTを履帯付きの車両に搭載し、自走式として運用できるよう設計されています。略称としては「120MSP」、広報向けの愛称は「ゴッドハンマー」として知られています。また、一部では「自走120モーター」といった名称でも呼ばれています。

概要

96式自走120mm迫撃砲は、陸上自衛隊における唯一の機甲師団である第7師団第11普通科連隊に配備されています。この部隊では、機甲化された普通科部隊に対応するため、迫撃砲部隊も機甲化が進められています。これまで使用されていた60式自走107mm迫撃砲と60式自走81mm迫撃砲は、制式化から長い年月が経過し、老朽化が進んでいました。そのため、兵装の更新が必要となり、120mm迫撃砲 RTを搭載する新たな自走迫撃砲の開発が決定されました。

開発は1994年から始まり、従来の車両を基にした設計がなされました。その結果、1995年には試作車が完成し、翌年の1996年に正式に制式化されました。

構造

96式自走120mm迫撃砲の車体は、日立製作所が生産を担当しています。シャーシは92式地雷原処理車からの流用が行われており、73式けん引車や87式砲側弾薬車といった他の車両ともコンポーネントを共有しています。車体の配置は前部左側に機関室、右側に操縦士席があり、その後方には車長席が配置されています。車両の後部には戦闘室が設けられ、主武装の120mm迫撃砲 RTが搭載されています。

兵装

搭載されている120mm迫撃砲 RTは、タレス・グループが開発し、豊和工業がライセンス生産したものです。この迫撃砲はターン・テーブルにより左右45度の旋回が可能ですが、基本的な構造や射撃能力は、普通科連隊の重迫撃砲中隊で使用されている車輪式のものと共通しています。ただし、自走砲のための制退器が装備されています。

実際の射撃時には、戦闘室の上部と後方にあるハッチを開け、後方に向けて発射準備を行います。この車両には、最大50発の120mm砲弾が搭載でき、戦闘室の左右にそれぞれ格納されます。さらに、自衛用のために12.7mm重機関銃M2も装備されています。

配備

96式自走120mm迫撃砲は予定通り第7師団第11普通科連隊の重迫撃砲中隊に配備されています。前身の60式自走迫撃砲は他の部隊にも配備されていましたが、96式の増産計画はその後見直されました。第2師団第3普通科連隊は装輪装甲車を配備する計画となったため、96式の追加配備の可能性は消滅しました。最終的に2002年までの調達契約に基づく総生産数は24両となりました。

以上のように、96式自走120mm迫撃砲は陸上自衛隊において重要な役割を果たす装備であり、その機動力と火力において現代の戦闘環境に適応した設計がなされています。

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