7 Days to End with You

『7 Days to End with You』（セブンデイズトゥエンドウィズユー）は、日本のゲーム開発者Lizardryが手掛けたビジュアルノベルです。本作は、言語読解をテーマにした独特なゲームシステムが特徴で、プレイヤーは作中に登場する架空言語を解読しながら物語を進めていきます。

概要

Steamの紹介文では「物語を読み解く全く新しいジャンルのパズル＆ノベルゲーム」と表現されています。プレイヤーは、架空言語で会話するキャラクターたちとのコミュニケーションを通じて、言葉の意味を推測し、物語の真相に迫ります。マルチエンディングを採用しており、言語を全く理解できなくてもクリアは可能ですが、真のエンドを迎えるには、ある程度の言語理解が必要です。

ゲーム内には、登場した単語の一覧があり、単語が使われた場面を振り返ることができます。プレイヤーは、単語が使われる状況や文脈から意味を推測し、一覧に自由に記入できます。記入した内容は、会話中のルビとして表示されるため、推測が正しいか確認しながらゲームを進めることができます。登場する架空言語の単語数は130弱で、文字には法則性があり、完全な読解も可能です。しかし、言葉の正しい意味は作中で明示されず、物語の解釈はプレイヤーに委ねられています。

イラスト、シナリオ、プログラムなど、ゲーム制作の全般をLizardryが一人で担当しました。Lizardryは、学生時代にバックパッカーとして海外を旅した経験から、言葉が通じなくても心を通わせることができた体験を本作に反映させています。

あらすじ

主人公である「私」は、記憶喪失の状態で目を覚まします。自分の名前も過去も分からず、体調も優れません。そばには「赤い髪の人物」がおり、主人公を看護してくれますが、話す言葉は全く理解できません。主人公は、その人物との交流を通して、言葉の意味を理解しようと試みます。

物語の進行

物語は、7日間をかけて進行します。主人公は、赤い髪の人物とのコミュニケーションや、家の中に置かれた物から、少しずつ言葉の意味を理解していきます。しかし、赤い髪の人物は、主人公が錬金部屋にある奇妙な仕掛けに触れることや、家の外に出ることを強く拒否します。

物語が進むにつれて、主人公は自分の体調が悪化していることに気づきます。また、赤い髪の人物との過去や、隠された秘密が明らかになっていきます。プレイヤーは、主人公の選択を通して、物語の結末を決定します。

新規要素（Switch版）

Nintendo Switch版では、新規エンディングなどの追加要素が予定されています。

開発

開発者のLizardryは、当初ゲームクリエイターになることを夢見ていたわけではありませんでした。しかし、ゲーム制作への関心から、個人でゲームを作り始め、モバイル向けの無料ゲームを中心に制作・公開していました。その過程で、ある程度の収入が見込めるようになり、開発技術も身についたことから、本作の開発に至りました。

本作の開発は、Lizardry一人で行われました。BGMとSEは、著作権フリーのものを使用しています。

本作のコンセプトは「コミュニケーションにおいて最も重要なのは相手を理解したいと思う熱量である」と企画段階で決定されました。ゲームの内容については、ユーザーに委ねられています。

Switchへの移植は、当初は開発の敷居が高いことや、文字入力が頻繁に発生するゲームの性質から、予定されていませんでした。しかし、PLAYISMの担当者から声がかかり、相談を重ねるうちに移植が決定しました。

評価

『7 Days to End with You』は、その独創的なゲームシステムと、言葉の壁を越えたコミュニケーションを描いた物語が高く評価されています。

日本ゲーム大賞2022 ゲームデザイナーズ大賞ノミネート（2位）
INDIE Live Expo Awards 2022 ルールズオブプレイ賞受賞
* 電撃インディー大賞2023 10位

アプリゲットの高野京介は、「言葉がわからない中、意味を推理していくゲーム性は斬新。ドット絵のグラフィックやBGM、ヒロインの女性も魅力的」と評価しています。Gamerの田中一広は、「未知の言語を推理によってじわじわと理解していく楽しさは、本作ならでは。他の作品では決して味わえない楽しさ」と評しています。

『7 Days to End with You』は、言葉の壁を越えたコミュニケーションの可能性と、物語の解釈をプレイヤーに委ねることで、新たなゲーム体験を提供する作品です。

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