710年代

710年代：東と西の激動と、日本の新たな時代

710年代は、世界各地で大きな変革が起きた時代として歴史に刻まれています。特に、東アジアの日本と、ヨーロッパおよび北アフリカにまたがるウマイヤ朝の勢力拡大、そして東ローマ帝国における権力交代は、世界史の大きな転換点となりました。

日本の新たな幕開け：平城京遷都と文化の発展

710年、日本の首都は、大和朝廷によって新たに建設された平城京に移りました。この遷都は、奈良時代の始まりを告げ、日本の政治、経済、文化の中心を飛躍的に発展させました。それまでの飛鳥京から平城京への遷都は、単なる場所の移動以上の意味を持ちます。より広大で計画的に整備された都市への移転は、律令制に基づく国家体制の確立を象徴する出来事でした。

712年には、『古事記』が完成しました。太安万侶によって編纂されたこの書物は、日本の歴史、神話、伝説をまとめた貴重な文献です。日本の歴史認識を形作る上で重要な役割を果たし、後世の研究にも大きな影響を与えました。また、同年、唐では玄宗皇帝が即位し、唐王朝は最盛期を迎えます。

713年には、地方の地理や風俗などを記した『風土記』の編纂が命じられました。これは、当時の地方の状況を知る上で貴重な資料となっています。さらに、715年には元明天皇が元正天皇に譲位し、新たな天皇の治世が始まりました。行政区分も見直され、里と郷の制度が改められました。これらの出来事は、政治体制の整備と、中央集権国家としての基礎固めを意味します。

イベリア半島の征服と東ローマ帝国の変動

711年、ウマイヤ朝は西ゴート王国を征服し、イベリア半島を支配下に置きました。イスラム勢力のヨーロッパへの進出は、ヨーロッパの歴史に大きな影響を与えることになります。

一方、東ローマ帝国では717年、レオーン3世が皇帝に即位し、イサウリア朝を開きました。レオーン3世は、718年にコンスタンティノポリスを包囲したウマイヤ朝軍を撃退するという偉業を成し遂げました。この勝利は、東ローマ帝国の存続に大きく貢献し、地中海世界の勢力バランスに影響を与えました。

日本の律令制の整備

718年には、藤原不比等によって律令が選定され、養老律令として制定されました。これは、日本の律令制を完成させる上で重要な出来事であり、後の日本の政治、社会、経済に大きな影響を与えました。

710年代は、日本における新たな時代の幕開け、イベリア半島におけるイスラム勢力の拡大、そして東ローマ帝国における権力交代という、世界史を大きく動かす出来事が相次いだ時代でした。これらの出来事は、互いに影響しあい、世界各地の政治、社会、文化に大きな変化をもたらしました。この時代を理解することは、世界史全体の理解を深める上で不可欠です。

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