72式魚雷

72式魚雷の概要

72式魚雷（ななにしきぎょらい）は、海上自衛隊において使用された長魚雷で、主に対浮上航行潜水艦や水上艦に対する兵器として利用されていました。この魚雷は、1972年に正式に採用され、1994年にその運用が終了するまで、多くの艦艇に搭載されていました。開発および製造は三菱重工業が担っており、開発中の名称はG-5Bでした。

開発の背景

日本の海上自衛隊は、1954年に設立されて以来、旧海軍の酸素魚雷の技術を基に新しい魚雷の開発を開始しました。この新型魚雷はG-5と呼ばれ、昭和39年度までの間に研究が進められましたが、実際の運用に至ることはありませんでした。さらに、この時期にホーミング誘導式の電気式魚雷も試製54式魚雷（G-1～4B）として並行して開発されていました。

その後、昭和40年度からは駛走距離を延ばすことを目的とした新型機関を搭載するため、G-5Bの開発が開始されました。開発の初期段階では、技術的な不確定要素が多く、実験的な試作を通じて研究が進められ、昭和42年度には基本的な要目が策定されました。

燃料の変更と特徴

開発当初の72式魚雷は、アルコールを燃料とし、硝酸を酸化剤とするレシプロエンジンが用いられていました。しかし、硝酸の取り扱いが難しいことやその副産物である排出ガスに関する問題が浮上したため、過酸化水素を酸化剤として採用することが決定されました。この変更によって、排気ガスは水蒸気と二酸化炭素に変わり、航跡を消すことが可能になりました。

1972年、72式魚雷はI型として正式に制式化され、海上自衛隊の魚雷艇と潜水艦に搭載されるようになります。1970年代後半から1980年代初頭にかけては、逐次、この魚雷からハープーン対艦ミサイルに切り替えが進められました。そして1994年には、最後の魚雷艇である15号魚雷艇が退役し、それに伴い72式魚雷も運用を終了し、順次廃棄されることとなりました。

搭載艦艇

72式魚雷は、いくつかの艦艇に搭載されていました。具体的には、以下のような艇がありました：

• - うずしお型潜水艦：魚雷発射管HU-602
• - ゆうしお型潜水艦：魚雷発射管HU-603
• - 11号型魚雷艇：魚雷発射管HO-101B

これにより、72式魚雷は海上自衛隊の海洋防衛において重要な役割を果たしました。

参考資料

詳細については、関係資料や展示情報を提供している佐世保史料館のウェブサイトを参照してください。

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