73式けん引車

73式けん引車（ななさんしきけんいんしゃ）

73式けん引車は、日本の陸上自衛隊が使用する砲けん引車で、主に野戦特科部隊によって重砲の牽引や弾薬・人員の輸送が行われる車両です。この車両は、陸上自衛隊の設立時にアメリカから供給された米国製の砲牽引車の更新を目的として開発されました。

概要

73式けん引車は、砲の牽引業務に加えて、弾薬や人員の移動を行うことができる多機能車両です。加えて、ドーザーブレードを装着することで、一定の規模の砲兵陣地の構築作業も可能になります。外観や運用性能に関しては、当時使用されていた25tけん引車のM8を参考にしている一方で、M8は日本の道路に対してやや大型であるため、73式けん引車は構造を小型化し、より日本の道路事情に適した仕様を目指しています。

陸上自衛隊では、米国から供与された砲牽引車を高射特科部隊でも使用していましたが、73式けん引車が制式化された頃には、高射特科部隊が高射砲を装備していなかったため、この車両は主に野戦特科部隊に限定される形で配備されました。

この車両は1969年から1979年の間に日立製作所で78両が生産されました。搭載される主な武器としては、155mmカノン砲M2や203mmりゅう弾砲M2の牽引を行い、特科群や特科教導隊第5中隊などに配備されました。しかし、現時点で、すべての73式けん引車は退役しており、既存の車両の一 部は改修を受け、87式砲側弾薬車の開発に関わる試験車両とし再就役するケースもありました。

また、73式けん引車の車体設計は、92式地雷原処理車や87式砲側弾薬車など、多くの派生型の開発に利用されました。

諸元

• - 全長: 6,130mm
• - 全幅: 2,990mm
• - 全高: 2,730mm
• - 重量: 19,800kg
• - 最大積載量: 1,280kg
• - 乗員数: 2名＋10名
• - 最高速度: 45km/h（牽引時）
• - 登坂能力: 約tanθ25%
• - 回転半径: 信地旋回
• - ウィンチ牽引能力: 16t
• - 武装: 12.7mm重機関銃M2
• - エンジン: 水冷2サイクル6気筒ディーゼル（三菱6ZF）
• - 出力: 450ps/2,200rpm
• - 製作: 日立製作所

派生型

• - 87式砲側弾薬車
• - 92式地雷原処理車
• - 96式自走120mm迫撃砲
• - 99式弾薬給弾車
• - 施設作業車: 伸縮式ショベルアームやドーザーブレードを使用して障害物の除去や陣地構築が行えます。ショベルアームはコンピューター制御による自律作業も可能で、事前に設定された手順に従い自動作業を行うことができます。

関連項目

• - 25tけん引車 M8
• - 18tけん引車 M4
• - 13tけん引車 M5

外部リンク

• - 青葉山軍事図書館 写真館 73式牽引車

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