7th Memorial 虹

7th Memorial 虹

『7th Memorial 虹』は、日本のシンガーソングライター、尾崎豊のコンピレーションアルバムとして、1998年11月11日に日本クラウンより発表されました。本作は、尾崎が生前残した音源の中から、デビュー以前に録音された未発表の音源を中心に構成されています。

商業的には、オリコンのアルバムチャートで最高15位を記録し、2週にわたってチャートインしました。売上枚数は約2.8万枚となり、これは尾崎の全アルバムの中で20番目のセールス記録にあたります。

構成と収録内容

アルバムはCD2枚組でリリースされました。初回限定盤には、尾崎の写真を用いたオリジナルカレンダーが特典として封入されたほか、尾崎のサイン入り携帯電話を入手できる抽選企画も実施されました。

DISC 1：デビュー以前に録音された、尾崎本人の歌唱による音源が収められています。ここには、他のアーティストの楽曲をカバーした弾き語り音源や、当時未発表だったオリジナル楽曲、そして秘蔵のメッセージなどが含まれます。また、喫茶店でインタビューを受けている際の肉声もナレーションとして収録されています。

DISC 2：既存の楽曲のインストゥルメンタルバージョンを中心に構成されています。加えて、「I LOVE YOU」の英語バージョンも収録されていますが、このボーカルは尾崎本人ではありません。

DISC 1の音源の大部分は、同じ1998年にリリースされたコンピレーションアルバム『14才の地図』に収録されたものと共通しています。しかし、一部には違いも見られます。「嫌んなった」ではイントロ部分がカットされ、サビが意図的に繰り返される編集が施されています。一方、「流れにそって」は、『14才の地図』では途中でフェードアウトしていたものが、本作ではフルサイズで収録されています。

なお、このアルバムは、ファンクラブにおいては公式に認められた作品ではないとされています。

音楽批評

本作のリリースにあたっては、その存在意義や収録内容について、音楽批評家たちから否定的な評価が多く聞かれました。音楽情報サイト『CDジャーナル』は、当時尾崎の未発表音源集が複数に分けて発表されていた状況を踏まえ、これらをまとめて「ANTHOLOGY」としてリリースすべきだったと指摘しました。また、アルバムがインストゥルメンタルディスクと、尾崎によるさだまさしや井上陽水といった他アーティストのカバー弾き語りを収めたディスクに分かれている構成を紹介した上で、「尾崎の『雨やどり』を聴いて感想を述べるのは難しい」と、その内容に対する戸惑いや否定的な見解を示しています。

音楽誌『別冊宝島1009 音楽誌が書かないJポップ批評35 尾崎豊 FOREVER YOUNG』において、ライターの宮城正樹氏は、本作が「尾崎の歴史を少年時代にさかのぼった形」の作品であると位置づけました。特に、尾崎が弾き語りでカバーしている音源について、「本当に尾崎の声なのだろうか」と疑問を呈し、「声紋鑑定に出す以外に真偽を判断する手立てはないだろう」と結ぶなど、厳しい論評を行いました。

参加ミュージシャン

本作の録音には、以下のミュージシャンが参加しています。

DISC 1

尾崎豊 - ボーカル、アコースティック・ギター

DISC 2

濱田尚哉 - ドラムス
是方博邦 - ギター
木藤政行 - ギター
六川正彦 - ベース
後藤輝夫 - サクソフォーン
栗本修 - キーボード
ドリアン・ライト - コーラス（6曲目）
篠崎正嗣 - ヴァイオリン
城戸喜代 - ヴァイオリン
大沼幸江 - ヴィオラ
山本裕康 - チェロ

収録曲リストや制作スタッフの詳細なクレジットについては、CDブックレットに記載されています。

もう一度検索