8.11 PAGODA

8.11 PAGODA

『8.11 PAGODA』は、日本のロックバンド・チューリップによるライブアルバムで、1984年9月29日にリリースされました。このアルバムには、同年8月11日に神奈川県の芦ノ湖畔で開催された「TULIP LAND in 芦ノ湖」のライブ音源が収められています。このイベントはバンドの象徴ともいえるものであり、特にその後のメンバー脱退により、チューリップにとっては第二期最後のライブ記録となりました。

アルバムのコンセプトとデザイン

『8.11 PAGODA』の制作には、バンドが追求していた宇宙路線が影響を与えていました。そのため、アルバムジャケットには仏像の頭部や、会場に設置された仏塔を模したオブジェが描かれており、演出としてもアーティスティックな試みが感じられます。1980年代という時代背景の中で、チューリップは様々な実験的要素を取り入れており、これがライブパフォーマンスにも色濃く反映されています。

収録されている楽曲

アルバムは4つのサイドに分かれ、さまざまな楽曲が収められています。まず、SIDE 1には「THE 10th ODYSSEY」や「エジプトの風」といったトラックがあり、特に「Wake Up」は財津和夫が独自のスタイルで演奏しており、ライブではコーラスとしても使用されるなど、聴きどころが多い一曲です。

SIDE 2には「セプテンバー」「青春の影」「銀の指環」などが収録されており、曲ごとに異なる雰囲気を楽しむことができます。特に「銀の指環」ではメンバーが交代でボーカルを担当し、ハワイアンスタイルのアレンジが施されているのが特徴です。

SIDE 3は、財津が作詞作曲した「愛の迷路」や「生まれる星」といった楽曲が含まれており、感情豊かなパフォーマンスが展開されます。

そして、SIDE 4では「OUR SONG」が特に注目されます。この曲は、ライブのクライマックスで演奏されるものであり、オーケストラによる合唱が加わることで一層の感動を呼び起こします。

ビデオ版との違い

『8.11 PAGODA』にはビデオ版も存在しますが、収録曲の順番や、カットされた楽曲、アルバム未収録のトラックが見られるため、それぞれの媒体で異なる楽しみ方ができます。特に、2005年にリリースされたDVD版では、オリジナルアルバムとは異なるアプローチでライブ映像が楽しめることもあり、ファンにとっては両者を比較する楽しみもあります。

現在の状況

なお、2022年現在では『8.11 PAGODA』は廃版となっており、LP版のみの流通となっています。CD化は行われていないため、入手は難しい状況です。このように、チューリップの歴史の中でも特に重要なアルバムの一つとして、多くのファンに親しまれています。音楽の魅力とアーティストの個性が凝縮された本作は、今後も色あせることなく愛され続けることでしょう。

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