90式空対空誘導弾

90式空対空誘導弾（AAM-3）

90式空対空誘導弾、またの名をAAM-3は、日本の防空における重要なミサイルシステムです。この短距離空対空誘導弾は、1980年代に日本の三菱重工業によって設計され、1986年から本格的な開発が始まりました。1990年には正式に承認され、航空自衛隊に採用されました。また、このミサイルは、AIM-9Lサイドワインダーの進化版として開発されており、その性能と運用能力の向上が期待されています。

特徴

AAM-3は、誘導方式にパッシブ二波長光波（赤外線・紫外線）ホーミングを採用しており、非常に敏感なターゲット検出能力を誇ります。特に、温度差を利用した目標の捕捉や追尾において優れた性能を発揮しており、精度の高い誘導が可能です。加えて、シーカーには日本電気が開発した最新の技術が搭載され、ノイズ除去回路と組み合わさることで、光波妨害技術に対する耐性も強化されています。

ミサイル本体には、運動性を向上させるために大きなカナードが前部に装備されており、末端には安定翼があります。この工夫により、AAM-3は優れた飛行特性を持つと同時に、オフボアサイト能力も高められています。また、ミサイルの制御には、最新のダイレクトドライブ式電動サーボアクチュエータが採用されており、迅速かつ精密な制御が可能です。

さらに、バンク・トゥ・ターン技術を導入したことにより、敵機に対して迅速な追尾が行えるようになったため、命中率が向上しています。近接信管には、シーカーと同様に日本電気の技術を用いたレーザーを利用した光学方式が用いられ、ードもサイドワインダーよりも大きくなっています。このように、AAM-3は従来のミサイル設計の限界を超える新しいアプローチがされており、戦術的な柔軟性を持ち合わせています。

経済面と生産状況

AAM-2の開発においてコストが問題視された過去を受けて、AAM-3では開発経費に対する意識が強く、122億円の予算内で効率化を図りました。しかしながら、その価格はサイドワインダーの約2倍に達し、経済的な負担が依然として懸念されています。生産は後継ミサイルである04式空対空誘導弾へと移行しているため、AAM-3は一部で改造品として使用されることもあります。

運用機

90式空対空誘導弾は、さまざまな航空機に搭載される予定です。具体的な運用機種には、F-15J/DJやF-2、F-4EJ改などが挙げられます。これにより、航空自衛隊は多様な空中戦術に対応する能力を向上させています。

参考文献

• - 自衛隊装備年鑑 2006-2007 朝雲新聞社 ISBN 4-7509-1027-9
• - 軍用機ウエポン・ハンドブック 航空機搭載型ミサイル・爆弾450種解説（青木謙知 イカロス出版） ISBN 4-87149-749-6

なお、90式空対空誘導弾に関する関心は高く、今後の運用状況や改良の成果に注目しています。

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