04式空対空誘導弾

04式空対空誘導弾（AAM-5）の概要

04式空対空誘導弾（まるよんしきくうたいくうゆうどうだん）は、日本の航空自衛隊が運用する短距離空対空ミサイルです。このミサイルは、90式空対空誘導弾（AAM-3）の後継として1991年から開発に着手され、2004年に制式承認されました。開発は三菱重工業によって行われました。

特徴

04式空対空誘導弾は、その設計において90式を大きく一新しています。カナードは省略され、飛行制御はTVC（推力偏向制御）と呼ばれるロケットモーターによる機構や、尾部に配置された全遊動式の飛翔制御翼によって行われています。これにより、非常に高い機動力を実現しています。また、ミサイル中央部には細長いストレーキが設けられています。

センサー技術も大幅に進化しており、NEC製の赤外線シーカーが改良されています。3軸ジンバルにより視野角が広がり、赤外線フォーカル・プレーン・アレイによる多素子シーカーを搭載することで、赤外線画像を利用したターゲット識別が可能となっています。この機能は、フレアなどの妨害手段への対抗にも寄与しています。さらに、中途航程では光ファイバジャイロスコープ式の慣性誘導（INS）を採用しており、ヘルメット装着式照準器との組み合わせにより、発射後ロックオン（LOAL）も可能です。ミサイルの終末誘導方法は赤外線画像（IIR）を使用しています。

世代としては、AIM-9XやIRIS-Tと同じ世代に位置づけられます。

2010年には、04式空対空誘導弾(改)の開発が進められ、2011年度予算において予算が承認されました。この改良版では、空中給油機の戦力化を受けて戦闘機の空中哨戒任務の長時間化にも対応しています。冷却方法がジュール＝トムソン効果からスターリングエンジン式のスターリング冷凍機に変更され、ガスタンクが不要で電力供給だけでシーカー部の冷却が維持されるようになりました。また、2波長赤外線センサの採用により、赤外線妨害手段への対抗能力が高められています。

運用機

04式空対空誘導弾は、F-15Jの新型空対空ミサイル対応改修機と近代化改修機に搭載可能です。特にMSIP機では、パイロットがJHMCSを用いてキューイングすることで、AAM-5の高いオフボアサイト能力を最大限に活かせます。インターフェイスはAAM-3と互換性がありますが、完全な能力は発揮できないものの、Pre-MSIP機においても搭載と運用は可能です。

加えて、F-2に関連するAAM-5搭載用ランチャーの開発も2010年度から進んでいます。一方で、F-35においては短距離空対空ミサイルとしてAIM-9Xの調達が決定されており、今後AAM-5の搭載改修が行われるかどうかは未確定です。

脚注

本ミサイルに関する詳細な情報は、青木謙知による『軍用機ウエポン・ハンドブック』に記載されています。

関連項目

• - 空対空ミサイル
• - 69式空対空誘導弾
• - AAM-2
• - 90式空対空誘導弾
• - 99式空対空誘導弾
• - 航空自衛隊の装備品

外部リンク

• - 04式空対空誘導弾(AAM-5)
• - AAM-5(04式空対空誘導弾） - ウェイバックマシン

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