91式空対艦誘導弾

91式空対艦誘導弾（ASM-1C）

91式空対艦誘導弾、通称ASM-1Cは、海上自衛隊が開発した先進的な空対艦ミサイルです。このミサイルは、主にP-3C及びP-1哨戒機に搭載され、その運用能力を強化しています。自衛隊は、対艦誘導弾をファミリー化して開発しており、この91式もその一環として位置付けられています。

開発の背景

自衛隊は、80式空対艦誘導弾（ASM-1）を基にして、より高性能なミサイルを求めて様々な改良を行っています。まず、推進機関のジェット化により射程が延び、さらに目標選択アルゴリズムやECCM（有効対電子戦能力）が向上しました。その結果、1988年には陸上自衛隊が88式地対艦誘導弾（SSM-1）を取得し、続いて艦船搭載型（XSSM-1B）及び哨戒機搭載型（XASM-1C）の開発が行われました。

特に艦船搭載型は早くから実用化され、90式艦対艦誘導弾（SSM-1B）として制式化されたのに対し、哨戒機搭載型の91式は1987年からの試作を経て、1991年に制式化されました。

91式空対艦誘導弾の仕様

91式空対艦誘導弾は、SSM-1/1Bとほぼ同じ形状を持ちながら、空中発射が可能な設計となっています。このため、初期加速用のロケットブースターは不要となりました。ミサイルの形状は、胴体中央部に4枚の主翼を配し、後部には操舵翼を備えています。推進にはターボジェットエンジンが用いられており、長射程を実現しています。

加えて、P-3C搭載時の適合性を高めるために、主翼の形状が三角形から台形に変更されました。発射後はシースキマーモードで巡航飛行を行います。P-3Cは最大6発のASM-1Cを搭載可能で、発射管制システムの向上により、他のミサイルとの混載運用も可能です。後継機のP-1では、さらに多くのミサイルを搭載することができると言われています。

成果と予算

ファミリー化による開発プロセスは効率的で、91式と88式はほぼ同時に開発され、開発費は約57億円とされています。これにより、短期間で高性能なミサイルが実現されました。

後継誘導弾

91式空対艦誘導弾の次のプロジェクトは、2017年度から開始された17式艦対艦誘導弾です。この新しいミサイルは、射程をさらに延長し、運用技術の向上を目指しています。2022年までに実用化する計画が進められ、令和5年（2023年）度の予算には初めて哨戒機用の新たな誘導弾の取得が計上されています。2025年度には23式空対艦誘導弾として、さらに評価の高い武器システムになる見通しです。

参考情報

このミサイルに関する詳細や技術的な内容は、関連項目や外部資料を参照することができます。91式空対艦誘導弾は、今後の自衛隊の運用において、重要な役割を担うことが期待されています。

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