93式空対艦誘導弾

93式空対艦誘導弾（ASM-2）

93式空対艦誘導弾（きゅうさんしきくうたいかんゆうどうだん）は、日本の航空自衛隊に1993年から配備されている空対艦ミサイルです。このミサイルは、主に敵の艦船に対する攻撃を目的として開発され、その誘導方式にはGPS技術を取り入れた改良版（ASM-2/B）も存在します。これにより、ミサイルは従来の対艦攻撃だけでなく、対地攻撃も実施可能となりました。

概要

日本は海に囲まれた国であり、海洋の防衛が重要な課題です。このため、対艦インフラにおけるミサイルの開発にも注力してきました。1980年代には、ソビエト連邦の艦隊の拡大に対応するため、初代の対艦ミサイルである80式空対艦誘導弾（ASM-1）を開発、この時期から本格的な防衛ミサイル開発が始まりました。このASM-1は既存の莫大な脅威に対して、果敢に防衛手段を講じるために運用されました。

93式空対艦誘導弾は、ASM-1を補完する形で新規に開発され、より進化した誘導方式として赤外線イメージ誘導が採用されています。また、その派生型であるASM-2(B)は、この赤外線による誘導にGPS技術を組み合わせることで、多様な攻撃目標に対する柔軟性が得られました。しかし、射程距離が200km未満という制約から、敵基地攻撃能力としての活用には難点もあるとも言われています。

開発と技術

防衛省の技術研究本部と三菱重工業が中心となって開発が行われ、1986年に開始されたこのプロジェクトは、1988年に試作段階に進みました。開発費用は約118億円で、その主な目的は、射程の拡大、敵の妨害に対する耐性の向上、さらに目標選択アルゴリズムの改善にありました。ASM-1のロケットエンジンに代わり、新たに採用されたターボジェットエンジンにより、ミサイルの性能が向上しました。

飛行初期段階では慣性誘導を使用し、終端段階において赤外線画像による誘導が行われます。これにより、従来の電波妨害に対しても高い耐性を誇り、また、艦船の種別による目標の判別が可能となっています。加えて、特殊な捜索モードを搭載し、発射後の再捜索する機能も備えています。

運用と性能評価

このミサイルは主にF-4EJ改やF-2戦闘機に搭載し、航空自衛隊によって運用されます。特にF-2では、1機当たり最大で4発を搭載することができます。中でもF-4EJ改では2発を同時に搭載可能で、柔軟かつ迅速に攻撃が可能です。運用上、複数のミサイル方式を保有することで、敵の妨害に対する耐性を確保する戦略が採られています。

航空自衛隊はこの93式空対艦誘導弾を高く評価しており、このミサイルを用いた訓練も重ねて実施されています。また、これに続く新世代の対艦誘導弾であるXASM-3の開発も進められており、次世代の攻撃システムの構築が期待されています。

改良型

93式空[対艦誘導弾]（ASM-2B）は2001年から2002年にかけて開発され、GPS誘導の機能を追加し、精度を向上させた改良型です。既存の技術を基に改良され、運用の柔軟性を高め、取得経費の低減も図られています。また、これに続く改良弾でも新たなソフトウェアによる機能向上が続けられています。

ゲームやアニメでの登場

このミサイルは、アニメやゲームの中でも取り上げられ、その性能や運用の様子が描かれています。たとえば、『終末トレインどこへいく?』や『ベネゼウの使い魔F』などでは、F-2Aに搭載された93式空対艦誘導弾が敵に対して使用されるシーンが描かれています。

このように、93式空対艦誘導弾は日本の防衛において重要な役割を果たし、今後もその性能向上と運用の柔軟性向上が期待されています。

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