Aダーター

V3E A-Darter (Agile Darter)

V3E A-Darterは、南アフリカのデネルダイナミクス社とブラジルのMectron社などが共同で開発した、高性能な短射程赤外線誘導式空対空ミサイルです。その最大の特徴は、180°という広い視野角と、毎秒120°という高い追尾レートにあります。これにより、敵機の急な機動にも対応でき、優れた妨害耐性も実現しています。

A-Darterは、南アフリカ空軍のサーブ JAS 39 グリペンC/DやBAe ホーク120、ブラジル空軍のA-1M AMX、ノースロップ F-5BR、そして最新のグリペンE/Fといった戦闘機への搭載が予定されています。

開発の経緯

A-Darterの開発は1995年に始まりましたが、予算不足や南アフリカ側の要求変更などにより、計画は遅延しました。2006年、ブラジルのMectron、Avibras、Atechが計画に参画し、ブラジル政府から5200万ドルの資金提供を受け、総開発費は推定1億3000万ドルに達しました。

同年、デネルはBAEシステムズ製の最新型半導体式慣性航法装置SiIMU02を、中間誘導に用いることを発表しました。また、ブラジルのOpto Eletrônica社は、デネルダイナミクス社と共同で、ミサイルの赤外線画像追尾装置を開発し、熱線誘導の精度向上に貢献しました。

地上での追尾装置試験は2010年1月に実施され、軌道誘導と飛行試験は同年2月に行われました。試作機は、サーブ JAS 39 グリペンとの統合試験のため、Saab AB社へ送られ、2010年3月には受領飛行試験が実施されました。そして、2010年6月17日には、グリペン戦闘機からの最初の発射試験が成功しました。

2012年3月、デネルダイナミクス社はミサイルの開発を完了し、2013年末からの量産開始に向け、認証段階に入りました。2012年1月には、デネル社のOverberg試射場で、グリペンを用いた複数の試験が実施され、最終試験では高速標的機が用いられました。

2019年8月、A-Darterは認証審査を完了し、同年9月には南アフリカとブラジルで型式証明を取得しました。

類似のミサイル

A-Darterと類似の性能を持つミサイルとしては、以下のものが挙げられます。

AIM-9X (アメリカ)
ASRAAM (ヨーロッパ)
IRIS-T (ヨーロッパ)
パイソン5 (イスラエル)
Vympel R-73 (ロシア)
AAM-5 (日本)

その他

デネル社は、A-Darter以外にも、R-ダーターというレーダー誘導ミサイルを開発しています。

外部リンク

Denel Dynamics – official website
Manufacturer's official brochure, A-Darter
* Mectron (Brazilian partner's website) （ポルトガル語）

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