A-7 (航空機・ソ連)

アントノフ A-7 (Antonov A-7)

アントノフ A-7は、第二次世界大戦中にソビエト連邦で開発された小型軍用グライダーで、主に兵員輸送のために設計されました。この機体は1941年のドイツ軍の侵攻を受けた際、赤軍の最高司令部によってその必要性が認識され、いくつかの設計局に開発が命じられました。特にオリェーク・アントーノフは、1939年に予備的に設計した小型グライダーを基に、A-7の提案を行いました。

開発の経緯

このグライダーは当初、RF-8という名称で呼ばれ、基本的にはスポーツ・グライダーのRF-7を大型化した構造を持っています。試験の結果、搭乗者数は当初の5名から7名に増加しました。A-7 は全木製の高翼機であり、引き込み式の降着装置を採用していました。1941年の遅い時期にはこの機体が評価を受け、量産命令が下され、約400機が製造されました。

さらに、1942年遅くから1943年初めにかけて、特異な派生型として1,000リットルの燃料を搭載したタンカー・グライダーが試作されました。この機は他の航空機に曳航され、給油ミッションを行うために設計されたものでしたが、実際の量産には至りませんでした。

運用の歴史

アントノフ A-7は、グリボフスキ G-11と並ぶソビエト連邦の主要な輸送グライダーとして使用されました。主にパルチザンに対する物資の輸送が行われ、特に1943年の春から秋にかけて、ベラルーシのポロツク-ベゴムル-レペル地域での運用が盛んでした。この期間中、数百機のグライダーが夜間飛行を行い、輸送後は機体が破壊され、操縦士だけが帰還するという運用法が取り入れられました。1944年にも、いくつかの地域でパルチザンへの補給活動が行われました。

また、A-7の特異な使用例として、1942年11月に実施されたモスクワからスターリングラードへの空中橋梁がありました。このミッションでは、戦車のエンジン冷却剤を急遽輸送する必要があり、A-7が重要な役割を果たしました。

ただし、A-7は他の小型グライダーに比べて搭載量が少なく、搭載貨物が限定される設計であったため、特定の任務には不向きな場合もありました。最大で兵員7名（操縦士を含む）または900kgまでの貨物を運ぶことができました。

特徴

A-7は長方形断面のセミモノコック構造を持ち、主に木材で製造されました。機首には操縦士用の席があり、その後方には6名分の貨物室が設けられています。座席の配置は、前部と後部にそれぞれ2名ずつ、中央部に2名が前後向きに配置される形で、荷物の積載には制限があります。また、手動の引き込み式降着装置は、貨物室の中央座席の間に設計されており、降下時の安定も考慮されています。着陸距離を短縮するために胴体下にはソリを装備することも可能でした。

要目

以下はアントノフ A-7の基本的な仕様です。

• - 乗員：1名
• - 積載量：兵員 7名（操縦士含む）または900 kg (1,980 lb)
• - 全長：10.54 m (34 ft 7 in)
• - 全幅：18 m (59 ft 0½ in)
• - 全高：1.53 m (5 ft)
• - 翼面積：23.20 m² (250 ft²)
• - 空虚重量：955 kg (2101 lb)
• - 全備重量：1760 kg (3782 lb)
• - 最大離陸重量：1875 kg (4125 lb)
• - 最大速度：300 km/h (186 mph)

アントノフ A-7は、限られた能力を持ちつつも、その運用の幅広さから戦争のさまざまな場面で活躍した実績があります。

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