A.J.ピアジンスキー

アンソニー・ジョン・ピアジンスキー：愛憎渦巻く個性派捕手の軌跡

アンソニー・ジョン・ピアジンスキー（Anthony John Pierzynski）は、1976年生まれ、ポーランド系アメリカ人の元プロ野球選手。捕手としてメジャーリーグで長きにわたり活躍しました。その実力はオールスターに選出されるほどでしたが、同時に数々のトラブルメーカーとしても知られ、良くも悪くも記憶に残る選手でした。

プロ入りからツインズ時代

1994年のMLBドラフトでミネソタ・ツインズから3巡目指名を受けプロ入り。マイナーリーグで着実に力をつけ、1998年にメジャーデビューを果たします。2001年には正捕手の座を掴み、打率.289、7本塁打と活躍。2002年にはオールスターにも初選出され、打率.300を記録しました。2003年も打率.312、11本塁打と好成績を残しましたが、球団は若手捕手の育成に舵を切り、ピアジンスキーは放出されることになります。

ジャイアンツ、そしてホワイトソックスへ

2003年オフにサンフランシスコ・ジャイアンツへ移籍。しかし、ここでの素行が問題視され、1年でチームを去ることになります。2005年、シカゴ・ホワイトソックスへ移籍すると、再び正捕手として活躍。2006年にはオールスターに選出され、チームのワールドシリーズ制覇にも貢献しました。ホワイトソックスでは、2009年に打率.300をマークするなど、安定した成績を残し、ファンからの支持も得ました。

レンジャーズ、レッドソックス、カージナルス、ブレーブス

2012年オフにテキサス・レンジャーズへ移籍。2013年は134試合に出場し、打率.272、17本塁打とまずまずの成績を残しました。その後、ボストン・レッドソックス、セントルイス・カージナルスを経て、2015年にアトランタ・ブレーブスへ移籍。ブレーブスでは113試合に出場し、打率.300を記録するなど、ベテランとしての健在ぶりを示しました。

引退後

2017年3月、現役引退を表明。引退後は、ポッドキャスト番組の司会を務めるなど、多方面で活躍しています。

議論を呼んだ人物像

ピアジンスキーは、その強烈な個性で多くの議論を呼びました。相手選手への挑発的な言動や、審判を欺くようなプレーは、しばしば批判の対象となりました。ある雑誌のアンケートでは「最も嫌われている選手」に選ばれるなど、そのアクの強いキャラクターは、多くのファンに強烈な印象を与えました。しかしその一方で、勝利への執念や、チームのために全力を尽くす姿勢は、一部のファンから熱狂的な支持を得ました。オジー・ギーエン監督は「敵に回すと嫌な奴だが、味方にすれば少しはマシ」と評しています。

プレースタイル

打撃では、広角に打ち分ける器用さと、パンチ力を兼ね備えていました。守備では、フレーミング技術に優れ、投手からの信頼も厚かったです。一方で、盗塁阻止率は平均レベルにとどまり、守備範囲も広くはありませんでした。強肩を生かした正確なスローイングが持ち味でした。

成績

MLB通算成績は、19年間のプレーで、打率.279、188本塁打、889打点。シルバースラッガー賞を1回受賞。オールスターには2回選出されています。

アンソニー・ジョン・ピアジンスキーは、その才能と問題行動によって、野球史に名を残した異色の選手と言えるでしょう。

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