A5305K

A5305K：京セラが挑んだ革新的なリボルバースタイル

A5305Kは、京セラが開発し、KDDI/沖縄セルラー電話からauブランドで発売されたCDMA2000 1X対応の携帯電話です。この機種の最大の特徴は、その斬新な「リボルバースタイル」にあります。

リボルバースタイルの誕生

従来の折りたたみ式携帯電話は、端末を開かなければ着信者が誰か確認できないという弱点がありました。サブディスプレイの搭載によってこの問題は一部解消されましたが、大型ディスプレイを常に表に出せるストレート式やフリップ式に比べると、利便性で劣る状況は否めませんでした。そこで、大画面と利便性を高次元で両立させるため、京セラはメインディスプレイを180度回転させるという、革新的な「リボルバースタイル」を開発しました。

この方式では、普段は折りたたんでコンパクトに持ち運び、使用時にはディスプレイを回転させてキーパッドを表に出すことができます。これにより、ストレート式のような見やすさと、折りたたみ式のような携帯性の良さを両立することに成功しました。このユニークなスタイルは、発表当時大きな話題となり、CMキャラクターに中村獅童を起用したことも注目を集めました。

類似機種との比較

同じくディスプレイを回転させる機種として、NTTドコモのSO505iやその後継機が挙げられます。しかし、SO505iはキーパッド側ケースを回転させる「ワン・エイティスタイル」を採用しており、LCD側ケースを回転させるA5305Kとは、厳密には異なる機構となっています。発売時期はA5305Kが先行しましたが、発表自体はSO505iの方が早く行われました。

リボルバースタイルの終焉

リボルバースタイルは後継機のA5502Kにも採用されましたが、結局この機種をもって、リボルバースタイルの機種は市場から姿を消しました。その背景には、A5305KとA5502Kにおける不具合や故障の多発、修理対応の増加などがあったとされ、KDDI側からリボルバースタイル開発の中止指示が出されたと言われています。

画面デザインとソフトウェア

A5305Kの画面デザインは、日立製作所製のA5303H/H IIと酷似しており、これらの機種は共通のソフトウェアを搭載していると考えられています。一方、後継機であるA5502Kでは京セラ独自のソフトウェアが採用されました。

製品概要

機種名: A5305K
メーカー: 京セラ
ブランド: au
対応ネットワーク: CDMA2000 1X (現 CDMA 1X)
発売日: 2003年5月16日

関連情報

関連機種: SO505i, A5502K, A5303H, A5303H II
関連企業: KDDI, 京セラ, NTTドコモ, 日立製作所

沿革

2003年4月23日：KDDIより発表
* 2003年5月16日：発売開始

まとめ

A5305Kは、その革新的なリボルバースタイルによって、携帯電話のデザインに新たな可能性を示した機種です。しかし、その先進的な設計は、結果として不具合や故障の多発を招き、短命に終わることとなりました。それでも、A5305Kが携帯電話史に残したインパクトは大きく、その斬新なアイデアは今なお語り継がれています。

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