AAV7

AAV7の詳細

概要

AAV7（またはAAVP7）は、アメリカ海兵隊における水陸両用装甲兵員輸送車で、FMC Corporation（現在のBAEシステムズ）の開発によるものです。この車両は、地上だけでなく水上をも移動できる能力を有しており、水面での推進は主にウォータージェットを使用しますが、履帯が回転することで時速7.2km/hの速度を出すこともできます。また、AAV7の愛称は、「アムトラック」という伝統的な名前で知られています。

開発の経緯

1964年にアメリカ海兵隊が新型水陸両用車両の開発を求めたのをきっかけに、FMC社が開発を担うことになりました。そして、1966年から1969年にかけて研究と試作が行われ、最終的に1970年6月にLVTP7（Landing Vehicle, Tracked, Personnel model 7）として採用されました。1980年代後半には、様々な電装品や火器システムの改修が施され、現行のAAV7A1という名称に変更されました。これにより、重機関銃や自動擲弾発射機を装備し、耐弾能力を強化することが可能となりました。

実戦使用と改修

AAV7は湾岸戦争やイラク戦争で通常の装甲兵員輸送車として利用されることが多く、対戦車ミサイルに対する防御策として増加装甲キットも装備されています。特にイラク戦争においては、アルミ製車体の防御力不足が顕著となり、この課題に対処するためにサイエンス・アプリケーションズ・インターナショナル社が改修計画を進行し、2016年にAAV7 SU（AAV7 Survivability Upgrade）が公開されました。この改修型は、車体にセラミック製の追加装甲を装着し、内部に飛散防止ライナー、さらには座席にも対地雷防護が施されています。

多様な派生型

AAV7は、兵員輸送型の他に指揮車両型や回収車両型（AAVC7、AAVR7）といった多様な派生型が存在しています。これらの車両は、それぞれの任務に特化した装備を持ち、戦術的な柔軟性を提供しています。

運用国

アメリカ合衆国に加え、複数の国において採用されています。イタリアやスペイン、韓国、ブラジルなどがそれに該当し、特に日本では陸上自衛隊がAAV7A1を配備しており、水陸機動団の主要な兵器となっています。

近年の事故と後継車両計画

2020年7月には、アメリカ海兵隊で大規模な沈没事故が発生し、人的被害が出ました。こういった事故を受け、運用の見直しが求められています。さらに、AAV7の後継車両は2011年に計画が中止されたEFV（Expeditionary Fighting Vehicle）に代わる新たな開発が進められており、BAEシステムズのACV（Amphibious Combat Vehicle）が選定され、少量の生産が開始されました。

結論

AAV7はその多機能性と適用性から長年にわたり海兵隊の主力水陸両用装甲車として位置づけられています。今後、さらなる改良や新車両との交代が検討される中でも、AAV7の堅牢性と柔軟性は依然として重要な役割を担っています。

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