ADDRESS (アルバム)

『ADDRESS』（アドレス）

『ADDRESS』は、シンガーソングライター・山崎まさよしが2006年6月28日に発表した通算7枚目のオリジナルアルバムです。前作にあたる『アトリエ』からおよそ3年ぶりとなるリリースで、これは当時のオリジナルアルバムとしては最も長いインターバルでした。この期間には、デビュー10周年を記念した様々な企画が進行していたことが、この長めのインターバルに繋がったと、山崎氏本人がその理由を語っています。

楽曲構成と特色

本作には、前作以降にリリースされたシングルの楽曲が全て収録されています。これらのシングル曲は、ベストアルバム『BLUE PERIOD』には未収録だったものです。ただし、ほとんどの楽曲はアルバム用にアレンジやミックスが変更された別バージョンとして収められています。結果として、全12曲のうち半数にあたる6曲がシングルやそのカップリングに関連する楽曲で構成されています。また、多くの楽曲が映画やテレビCM、テレビゲームなど、様々なメディアとのタイアップを持っていた点も特徴です。収録曲の多くについて、山崎氏がインタビューで語ったところによれば、これらの楽曲の原型は彼がデビューする以前から温めていたアイデアに基づいているといいます。

リリース形態と特典

パッケージは、CDのみの「通常盤」と、シングル5作品のミュージックビデオを収録した特典DVDが付属する「初回限定盤」の2種類でリリースされました。両形態でジャケット写真が異なります。初回限定盤に収録された5曲のミュージックビデオのうち、「僕らは静かに消えていく」と「ビー玉望遠鏡」は、それぞれのシングル初回生産盤に収録されていた映像と同じものです。「8月のクリスマス」のミュージックビデオは、シングル初回生産盤とは異なる編集が施されています。そして、「メヌエット」と「アンジェラ」の映像は、このアルバムの初回限定盤DVDで初めて商品化されたものでした。

タイトル曲「ADDRESS」を巡る展開

アルバムのタイトルを冠した楽曲「ADDRESS」は、山崎氏自身が出演したアサヒビール「PRIME TIME」のコマーシャルソングとして使用されました。この楽曲のために制作されたミュージックビデオは、大宮エリー氏が監督を務め、俳優の田中要次、温水洋一、大森南朋、女優の奥貫薫、お笑いタレントの山崎静代（南海キャンディーズ）、そして後にブレイクする前の鳥居みゆきといった多彩な顔ぶれが出演しました。このミュージックビデオは非常に印象的な作品でしたが、残念ながら商品化はされていません。

また、本作のプロモーションとして制作されたテレビCMも、ミュージックビデオと同様に大宮エリー氏が監督を務めました。全4話構成のこのCMは、山崎氏が小さなレコード店を訪れる様子を中心に描かれ、店長や女性客、女子高生、さらには山里亮太（南海キャンディーズ）が登場し、ユーモラスなやり取りを通じてアルバムを印象づける内容となっていました。

連動ツアーとその後の展開

アルバムのリリースに連動する形で、全国ツアー「HAND MY ADDRESS 2006」が2006年8月5日から12月15日まで開催されました。ツアー終盤の2006年11月19日に東京国際フォーラム・ホールAで行われた公演の模様は、翌2007年にWOWOWで放送されました。このライブ映像は長らく公式なパッケージとしてはリリースされませんでしたが、2021年にファンクラブ限定で販売されたボックスセット『YAMAZAKI MASAYOSHI Live Archive Box ～2006 to 2020～』の中に収録され、ようやく商品化が実現しました。

さらに、『ADDRESS』はCD以外にも異なる形態でリリースされています。2007年12月19日にはボックス仕様のアナログ盤が、そして2008年12月10日には高音質CDであるSHM-CD盤が登場するなど、その後の展開も見られました。

参加ミュージシャン

本作の全楽曲は山崎将義（山崎まさよし）が作詞・作曲・編曲を手掛けています。演奏面では、山崎氏自身がボーカル、様々な楽器演奏、プログラミングなどを担当するほか、中村キタロー（ベース、コーラス等）、江川ゲンタ（ドラムス、パーカッション等）、小田原豊（ドラムス）といったリズムセクション、エリック宮城、村田陽一、小池修、竹野昌邦、青木タイセイ、梅津和時、片山広明といった管楽器奏者、Dr.kyOn（アコーディオン、キーボード等）など、多数の経験豊富なミュージシャンが参加し、楽曲に彩りを加えています。

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