ADPグループ

ADPグループ：パリの玄関口から世界へ羽ばたく空港運営会社

ADPグループ（Aéroport de Paris S.A.）は、フランスを代表する空港運営会社です。その事業は、パリ＝シャルル・ド・ゴール空港やパリ＝オルリー空港といったパリ近郊の主要空港の運営にとどまりません。世界12カ国にも及ぶ空港事業への出資や、空港施設のリース・管理など、多角的な事業展開を行っています。ユーロネクスト・パリにも上場しており、国際的なビジネスシーンにおいて重要な存在感を示しています。

歴史：戦後復興からグローバル企業へ

ADPグループの歴史は1945年にさかのぼります。フランス政府によって設立された独立法人として、第二次世界大戦で荒廃したル・ブルジェ空港の再開からその歩みを始めました。その後、パリ＝オルリー空港の拡張を経て、パリの主要空港としての地位を確立しました。しかし、オルリー空港の処理能力には限界が見えたことから、1964年に新たな空港建設に着手。1974年には、現在のパリの玄関口であるシャルル・ド・ゴール空港が開業しました。

2005年には有限責任会社へ改組、2006年には株式上場を果たし、民営化への道を歩みました。現在もフランス政府が株式の過半数を保有していますが、アムステルダム・スキポール空港の運営会社であるスキポールグループやヴァンシなど、複数の企業が主要株主となっています。これにより、国際的な連携強化や経営の多様化を図っているものと考えられます。

事業内容：空港運営の枠を超えた多角化

ADPグループの売上高は、大きく分けて4つの事業から成り立っています。まず、パリ近郊の空港運営事業は売上高の4割強を占めており、その基盤事業としての重要性がわかります。それに次いで、空港内の商業施設運営による売上高が3割強を占め、空港利用客向けのサービス提供も重要な収益源となっています。さらに、海外事業が2割強を占めるなど、グローバルな事業展開も積極的に行われています。その他、不動産事業なども展開しており、空港運営会社としての枠を超えた多様な事業ポートフォリオを構築しています。

国際展開：技術支援から直接投資まで

ADPグループは、1970年代から海外空港事業への投資を開始し、1991年には国外展開を目的とした子会社を設立しました。2000年には、空港設計や調査・技術支援を行う子会社ADPアンジェニエリ（ADP Ingénierie）を設立し、中国や台湾、ベトナムなど、世界各地の空港開発に貢献しています。日本においても、関西国際空港ターミナルビルの基本構想を提案するなど、国際的な空港建設・運営において重要な役割を果たしています。

近年では、トルコやヨルダン、インドなどの空港運営会社への直接投資も行っており、積極的に海外事業を拡大しています。2012年にはトルコ最大の空港運営会社TAVエアポーツ・ホールディングの株式の38％を取得し、2018年にはヨルダンのクィーンアリア国際空港を運営するエアポート・インターナショナル・グループ（AIG）の株式の51％を取得しました。2020年にはインドのGMRグループの株式の49％を取得するなど、積極的にグローバルなネットワークを構築しています。

まとめ：未来へ向けた持続可能な成長

ADPグループは、パリの主要空港運営から始まり、現在では世界的な空港運営会社へと成長を遂げています。その事業は、空港運営にとどまらず、商業施設運営、技術支援、直接投資など多岐に渡り、グローバルな視点で持続可能な成長を目指しています。今後も、世界中の空港開発や運営に貢献し、航空産業の発展に大きな役割を果たしていくことが期待されます。

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