AERA DIGITAL

AERA DIGITAL（アエラデジタル）は、日本の主要なオンラインメディアの一つで、朝日新聞出版株式会社が運営しています。同社が発行する雑誌や書籍、例えば『AERA』、『週刊朝日』、『アサヒカメラ』、『アエラスタイルマガジン』、『一冊の本』などに掲載された記事をデジタルコンテンツとして提供するほか、国内外の様々な情報サイトとも提携し、幅広い分野の記事を配信しています。提携サイトには、AFPBB News、NHKテキストビュー、ダイヤモンド・オンライン、週刊東洋経済、BOOKSTAND、billboard、tenki.jpなどが含まれます。

このメディアは、名称を数度にわたって変更してきました。当初は「dot.（ドット）」という名称で運営されていましたが、2017年5月には「AERA dot.（アエラドット）」に改称。さらに、2025年4月には現在の「AERA DIGITAL（アエラデジタル）」へと変更されました。媒体資料によれば、2017年6月時点での月間ページビュー（PV）数は7,700万回を超えるなど、多くの読者に利用されていることが示されています。

AERA DIGITAL（旧AERA dot.）に掲載された朝日新聞出版のコンテンツの一部は、Yahoo!ニュース、MSNニュース、スマートニュースといった主要なキュレーションメディアにも配信されており、より多くの読者に記事が届けられています。

主な不祥事と批判

AERA DIGITALは、その歴史の中でいくつかの記事掲載に関わる問題により、批判を受けたことがあります。

観相学に基づく記事掲載と削除

2018年7月27日、「杉田水脈衆院議員の顔は『幸せに縁がない』？　観相学で見てみたら...」と題する記事が掲載されました。この記事は、杉田水脈衆議院議員の顔相を観相学の専門家に見てもらうという内容でしたが、「まず全体の印象として『幸せに縁のない』お顔」といった記述が含まれており、読者やSNS上で内容の適切さについて疑問や批判が相次ぎました。これを受け、AERA dot.は同年7月30日に公式サイト上でお詫び文を掲載し、記事の内容が不適切であったことを認め、7月28日未明には記事全文を削除したことを発表しました。

特定タレントへの薬物疑惑示唆記事

2020年5月5日、「『マトリ』が次に狙うセレブタレント　昨年大麻逮捕の“元女優”と同ルートか」との見出しで配信された記事が問題となりました。記事は、特定の女性タレントが麻薬取締官（マトリ）の内偵捜査を受けており、逮捕が近い可能性があるという内容でした。記事中の具体的な記述（居住する超高級賃貸物件の情報など）から、タレントのダレノガレ明美氏を想起させると指摘され、SNSを中心に情報が拡散しました。ダレノガレ氏の所属事務所は同年5月7日、記事が虚偽であるとして、内容証明郵便による警告書の送付と、掲載経緯の説明、訂正謝罪記事の掲載を求める声明を発表。要求が通らない場合は法的手段に訴える姿勢を示しました。ダレノガレ氏自身も、疑惑を晴らすため自らの毛髪検査を実施し、陰性であったことをSNSで公表しました。朝日新聞出版は5月14日、公式サイトに謝罪文を掲載し、記事が関係者への十分な取材や事実確認を欠いていたことを認め、記事を取り消して関係者に謝罪しました。しかし、ダレノガレ氏はこの謝罪を不十分とし、ネットニュースとして明確な訂正謝罪文を配信するよう求めました。

熱海土砂崩れ関連の誤引用と訂正

2021年7月4日、静岡県熱海市で発生した大規模な土砂崩れに関連し、「小泉環境相は熱海災害を『私の仕事は雨が上がった後』と他人事　菅首相は都議選『勝利宣言』準備」という見出しの記事を配信しました。この記事は、災害発生当日に東京都議会議員選挙の応援演説を行った小泉進次郎環境大臣の発言を批判する内容でした。記事中では小泉氏が「これはテレビの中ですけど、静岡県の熱海で大変大きな崖崩れ、土砂崩れが発生しました」と発言したと引用し、「小泉環境相にとって災害は、テレビの中の出来事で、雨が上がったら対応すればいいとも聞こえる発言だった」と論評しました。しかし、SNS上で実際の発言は「選挙の中ですけど」であったとの指摘があり、AERA dot.は引用部分を訂正するとともに、論評も「小泉環境相にとって災害は、雨が上がったら対応すればいい、とどこか他人事のように聞こえる発言だった」と変更しました。その後、同月5日までに記事末尾に記者の聞き間違いによるもので関係者に迷惑をかけたとする謝罪を追記しました。

殺人事件容疑者の趣味と結びつける見出し

2021年9月1日、東京都墨田区で発生した女子高生殺害事件に関し、逮捕された群馬県の夫婦を取り上げた記事で、「『バ美肉』アニメ好きの20代新婚夫婦が女子高生を『殺害』した仰天の動機」という見出しを付けて配信しました。記事内には、容疑者の趣味として「バ美肉」やアニメに言及する記述が含まれていましたが、事件と容疑者の趣味を強引に結びつけ、特定の趣味嗜好に対する差別を助長する可能性があるとの批判が上がりました。これに対し、VR文化振興団体であるNPO法人バーチャルライツが懸念を示す緊急声明を発表するなど、反響を呼びました。AERA dot.は当初、見出しの一部を修正しましたが、翌日にはさらに「バ美肉」「アニメ」の箇所を削除しました。併せて、記事の目的は容疑者の人となりを描くものであり、趣味と事件容疑を関連づける意図はなかったとしつつも、読者に誤解を与えかねないとの指摘を受けて見出しを修正・削除したことに対する謝罪文を追記しました。

JCHOの財務状況に関する批判記事

2021年9月24日、「【独自】尾身理事長の医療法人がコロナ補助金などで311億円以上の収益増、有価証券運用は130億円も増加」と題する記事が掲載されました。この記事は、地域医療機能推進機構（JCHO）がコロナ関連補助金などにより収益を大幅に増やした裏で、有価証券運用額も増加したことを報じ、補助金収入がコロナ医療に還元されず内部留保されている可能性を示唆する内容でした。厚生労働省関係者のコメントも引用し、この状況を問題視する見方を紹介しました。しかし、JCHOの財務諸表において、記事が「有価証券運用額」とした685億円は、「譲渡性預金」（他人に譲渡可能な定期預金）として計上されており、これは一般的に現金同等物として扱われる銀行預金であり、記事が示唆したような株式等の有価証券購入の原資となる性質のものではありませんでした。インターネット上では、企業会計に詳しいユーザーを中心に、記事内容がJCHOの財務状況を誤って解釈している（譲渡性預金を誤認している）との指摘が相次ぎ、誤報やミスリードであるとの批判が生じました。

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