麻薬取締官

麻薬取締官とは

麻薬取締官は、厚生労働省に所属する専門職で、麻薬や覚醒剤などの薬物犯罪の捜査や、不正薬物の流通ルートの解明を主な任務としています。俗に「麻薬Gメン」や「マトリ」とも呼ばれています。麻薬取締部は、地方厚生局などの地方支分部局に設置されており、麻薬取締官はこれらの部署に配属されています。

職務内容

麻薬取締官は、麻薬及び向精神薬取締法（以下、麻向法）に基づき、特別司法警察職員としての権限を与えられています。危険な職務のため、司法警察員として職務を行う場合に限り、拳銃や特殊警棒などの小型武器の携帯が認められています。また、警察官と同様の逮捕術訓練も受けており、その逮捕術は少林寺拳法を基にしています。

麻向法やあへん法の規定により、麻薬取締官は厚生労働大臣の許可を得て、犯罪捜査において違法に流通している麻薬やアヘンを譲り受けること、いわゆる「おとり[[捜査]]」が可能です。これにより、違法薬物の流れを把握し、密売組織の解明や、薬物密売収益の没収など、摘発、検挙、壊滅につなげています。

麻薬取締官は、その職務の性質上、麻薬取締員や都道府県警察などと密接な協力関係にあり、麻向法にも協力関係が明記されています。海外の捜査機関や、海上保安庁、税関、出入国在留管理庁などとも連携し、薬物犯罪の捜査にあたっています。

採用と資格

麻薬取締官になるには、人事院が行う国家公務員採用一般職試験（大卒程度試験）の最終合格者であるか、薬剤師の資格を持つ必要があります。薬剤師の場合は、薬学系選考採用試験に合格する必要があります。採用後は全国勤務となり、行政区分ごとに転勤が行われます。

薬学系選考採用試験では、論文試験や適性検査、面接試験などが行われます。麻薬取締官の6～7割が薬剤師免許取得者であり、薬学部からのリクルートも積極的に行われています。また、薬剤師免許を持っていなくても、麻薬取締りや薬事に関する行政事務に一定期間従事した者や、法律または薬事に関する科目を修めて大学を卒業した者も麻薬取締官になることができます。

警察との関係と統合論

麻薬取締官は特別司法警察職員として警察権を持つため、行政改革会議では警察機構への統合論が出たことがあります。予算や効率化の観点からも統合論がありますが、実際には、薬物密売には暴力団が関わっていることが多く、警察との情報交換が不可欠です。

しかし、麻薬取締官は警察とは異なり「おとり[[捜査]]」が認められているため、複眼的捜査という観点で重要な役割を担っています。

題材とした作品

麻薬取締官を題材とした作品は、映画、漫画、小説、ドラマ、ゲームなど多岐にわたります。以下に代表的な作品を挙げます。

映画：「麻薬売春Gメン」シリーズなど
漫画：「麻薬取締官 マトリ」「エンドレス・ドラッグ・ウォーズ リスク」「switch」「マトリズム」「名探偵コナン」「東京カンナビス特区 大麻王と呼ばれた男」「マトリと狂犬 ―路地裏の男達―」など
小説：「天使の爪」「無間人形」「灰夜」「ヒートアップ」など
ドラマ：「太陽にほえろ!」「相棒」「マトリの女 厚生労働省 麻薬取締官」など
ゲーム：「ドラッグ王子とマトリ姫」「スタンドマイヒーローズ」など

まとめ

麻薬取締官は、薬物犯罪から社会を守るために、高度な専門知識と危険を顧みない勇気をもって職務を遂行しています。その活動は、薬物乱用の撲滅に不可欠であり、社会の安全・安心に貢献しています。

参考文献

鈴木陽子『麻薬取締官』集英社、2000年。

関連項目

アメリカ合衆国の警察#特別な法執行機関
麻薬取締局（DEA）
法務部[[調査局]]

外部リンク

麻薬取締官（厚生労働省 地方厚生局 麻薬取締部）

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