AGM-45 (ミサイル)

AGM-45 シュライクとは

AGM-45 シュライクは、アメリカ合衆国の海軍兵器センター（NWC）で開発され、テキサス・インスツルメンツによって製造された対レーダーミサイルです。このミサイルは、1963年に開発が始まり、ベトナム戦争中に実戦で使用されました。

開発の背景

AGM-45は、AIM-7C スパロー空対空ミサイルを基に、対レーダーシーカーを搭載して生まれました。これにより、地対空ミサイル（主にSA-2 ガイドライン）のレーダー波を探知し、敵のレーダーを破壊するという新たな能力を持つことができました。約18,500発が製造されましたが、当初の性能にはいくつかの制限があり、特に射程や速度の不足が多くのパイロットに不評でした。

運用の歴史

初めてAGM-45が実戦で搭載されたのは、1965年のベトナム戦争でのアメリカ海軍のA-4 スカイホーク攻撃機でした。その後、アメリカ空軍もF-105F/G ワイルド・ウィーゼル機やF-4G ファントムIIなどでこのミサイルを使用しました。また、A-6 イントルーダーやA-7 コルセアIIにも搭載されました。AGM-45は、約30度の角度で打ち上げられ、10-25マイル（約16-40 km）離れたレーダー源に向かって50秒ほど飛行しました。

AGM-78 スタンダードARMが登場する1966年と1967年には、AGM-45の戦術が変わる過程で使用され続けました。AGM-78はAGM-45よりも高速かつ長射程で、運用コストは高いものの、この新型の導入後もAGM-45は搭載され続けました。

他国での使用

イギリスでは、AGM-45は恒常的には使用されていなかったものの、1982年のフォークランド紛争時に一時的に供給され、その際に改修された爆撃機に搭載されて使用されました。この作戦では、AGM-45がアルゼンチンのレーダー施設に攻撃を行い、一定の成果を収めました。

性能上の問題

AGM-45には、いくつかの性能上の問題がありました。第一に、狭い周波数帯域しか対応できず、敵が周波数を変更した場合の効果的な攻撃が難しくなりました。次に、弾頭の破壊力の不足も問題で、レーダー装置の破壊が難しく、正確な損害評価も困難でした。また、射程がSA-2 SAMよりも短く、攻撃機が危険にさらされる状況を創出しました。さらに、仮に同時にミサイルを発射した場合、AGM-45が敵のSAMを破壊できず、自機が撃墜されるリスクも大きかったのです。加えて、シーカーの視野が制限され、発射時に許容誤差が非常に小さかったことも運用を難しくしました。

型式の紹介

AGM-45AとAGM-45Bなどの異なる型式が開発され、後者は射程を40kmに延長し、弾頭の選択肢を増やしました。また、キルション（Kilshon）という改良モデルは、地上からの運用も考慮され、改良されたAGM-45を搭載することで、運用の幅を広げました。

最終的に、AGM-45はAGM-88 HARMに取って代わられ、1992年にはアメリカの運用が終了しました。その後、イスラエル空軍でも段階的に導入が進められました。AGM-45は、その独自の技術と運用方法が後の対レーダーミサイルの開発に大きな影響を与えました。

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