AIM-82

AIM-82: 空対空ミサイルの計画と中止

AIM-82は、アメリカ空軍によって計画された短射程空対空ミサイルですが、実際には試作機すら製造されることなく計画は中止されました。このミサイルは、1970年代初頭の空戦における新たな要求に応えるためのものでした。

概要

1969年、アメリカ空軍は新型制空戦闘機F-15の開発を進めていました。F-15は、優れた制空権の確保を目的とし、そのためには最先端の装備が必要でした。このことから、既存のAIM-9サイドワインダーではなく、新たに短射程の空対空ミサイルを導入することが決定されました。

この新しいミサイルには、全方位交戦能力が求められました。つまり、敵機を捕捉して照準を合わせる際、様々な角度からの攻撃が可能であることが条件でした。当時の技術ではAIM-9では達成できなかったこの全方位能力は、将来的な空戦シナリオにおいて重要な要素とされました。また、ミサイルは赤外線誘導を利用し、ファイア・アンド・フォーゲットの機能を持つことが求められました。これにより、ミサイルが発射された後に発射した母機の誘導を必要とせず、その場からすぐに回避行動を取ることが可能となります。

開発契約と中止

1970年、ジェネラル・ダイナミクス、ヒューズ・エアクラフト、フィリコ-フォードとの間で開発契約が交わされました。しかし、同年9月に計画は突然中止されることとなります。その背景には、アメリカ海軍がF-14戦闘機に搭載するために開発中だったAIM-95という別の短射程空対空ミサイルの存在がありました。AIM-95とAIM-82は類似の仕様を持ち、AIM-95はAIM-82以上の能力が期待されたため、開発の統合が決定されたのです。

その後もAIM-95自身が中止される運命を辿ります。結果として、AIM-82とAIM-95の両方が開発されることはなくなりましたが、その過程で得られた技術的な経験は、後のAIM-9ミサイルの改良に生かされ、現在でも運用され続けています。

諸元

AIM-82の開発は基本設計の段階で終了したため、具体的なミサイルの仕様は残っていません。計画段階では、外観は既存のAIM-9に似た形状になると考えられていました。つまり、AIM-82はフォルムこそAIM-9を意識したものの、それに相応しい先進的な機能を搭載することを目指していました。

このように、AIM-82は空対空戦闘の技術革新に影響を与える可能性を秘めていたものの、最終的にはその道筋を辿ることなく姿を消しました。運用されることがなかったミサイルですが、その計画は今も空戦の歴史において注目に値する存在です。

関連項目

• - AIM-9サイドワインダー
• - AIM-95 アジャイル
• - ミサイルの一覧

詳しい情報はMilitaryToday.comで確認できます。

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