AKABOSHI -異聞水滸伝-(アカボシ いぶんすいこでん)
『AKABOSHI -異聞
水滸伝-』は、
天野洋一氏によって『
週刊少年ジャンプ』で連載された日本の
漫画作品です。
中国の古典
小説『
水滸伝』をベースに、独自の解釈と奇抜な設定を盛り込んだ異色の物語が展開されます。
概要
本作は、
天野洋一氏が『
週刊少年ジャンプ』で手掛けた2度目の連載作品です。登場人物や世界観は『
水滸伝』をモチーフとしていますが、作者自身は「カオスな自分的『
水滸伝』として楽しんでほしい」と語っています。その言葉通り、物語は従来の『
水滸伝』のイメージを覆す、斬新な設定が数多く盛り込まれています。
しかし、連載は短期打ち切りとなり、物語は『
水滸伝』の序盤部分を描いたに過ぎず、108人の英雄が全員揃うことはありませんでした。物語は中途半端な形で幕を閉じることになりますが、単行本第3巻では、連載時に描かれなかった設定や伏線が補完され、後日談も追加されています。
あらすじ
物語の舞台は、900年前の
中国・宋の時代。圧政と貧困に苦しむ民衆の間で、伝説の義賊「替天行道(たいてんぎょうどう)」の噂が広まっていました。「替天行道」とは、腐敗した国家を倒し、世を変えようとする正義の集団です。
そんな中、「替天行道」の名を騙り、悪を討つことで人々に希望を与えようとする少女・翠蓮(すいれん)が現れます。彼女の前に、巨大な剣を携えた傍若無人な少年・戴宗(たいそう)が現れます。紅く燃える流星のような剣技を操る彼は、世界の夜明けを告げる明星(あかぼし)となろうとする男でした。
登場人物
主要人物
戴宗(たいそう)/流星(りゅうせい)
本作の
主人公。「替天行道」のメンバーで、宝剣「伏魔之剣(ふくまのつるぎ)」を武器に戦います。普段は面倒くさがりな性格ですが、内に秘めた正義感は強く、驚異的な脚力と剣技で敵を打ち倒します。天速星の宿星であり、物語が進むにつれて星の力を覚醒させていきます。
金翠蓮(きん すいれん)
村を守るため「替天行道」を名乗る少女。戴宗との出会いをきっかけに、彼の旅に同行することになります。明るく健気な性格で、戴宗の破天荒な行動に振り回されながらも、彼を慕っています。後に地獣星の宿星となります。
林冲(りんちゅう)/豹子頭(ひょうしとう)
八十万禁軍武術師範補佐。槍棒の達人で、「豹子頭」の異名を持ちます。過去の経験から義賊を嫌悪しており、当初は戴宗と対立しますが、次第に協力関係を築いていきます。
師匠(ししょう)
戴宗が連れている猫のような虎。戴宗から「師匠」と崇められていますが、何の師匠かは不明です。
替天行道
宋江(そうこう)/及時雨(きゅうじう)
「替天行道」の頭領。穏やかな性格で、常に笑顔を絶やしません。戴宗の扱いが上手く、メンバーからの信頼も厚いです。
花和尚(かおしょう)
「替天行道」の幹部。並外れた戦闘力と怪力の持ち主である
僧侶。
公孫勝(こうそんしょう)/入雲龍(にゅううんりゅう)
「替天行道」のメンバー。道術を使う
道士で、自己中心的で掴みどころのない性格。
宋
高俅(こうきゅう)
殿帥府大尉。朝廷の実権を握る悪役。残虐な性格で、戴宗が最も憎む相手です。
王進(おうしん)
八十万禁軍武術師範。中華最強と呼ばれる男。国の政治のやり方に異を唱えたことから、上層部から疎まれています。
関勝(かんしょう)/大刀(だいとう)
八十万禁軍将軍。
関羽の子孫を自称し、
青龍偃月刀を武器に戦います。
王倫(おうりん)/白衣秀士(はくいしゅうし)
梁山泊の頭領。山賊たちを裏切り、私欲のために動く野心家。禁術「黒の言霊」の使い手です。
用語
替天行道(たいてんぎょうどう)
中国の村人たちの間で囁かれている伝説の義賊。「天に替わって道を行う」という意味を持ち、腐敗した宋を倒し、
中国を再建することを目的としています。
梁山泊(りょうざんぱく)
険しい自然の要塞として知られる山。山賊たちが根城としており、「替天行道」が本拠地として狙っています。
伏魔之剣(ふくまのつるぎ)
戴宗が持つ巨大な剣。元は王の弟の誕生祝の宝剣として製造されたが、高俅の手の者によって七代宋王の暗殺に使われた。
三本の絲
北宋の政治を裏で牛耳る高俅、
蔡京、童貫の三名を表す言葉。
108魔星の力
通称「星の力」と呼ばれる、選ばれたものの中に宿るといわれる力。全部で108あり、その宿星を全員従えた者は天下を獲れるという。
書誌情報
*
天野洋一『AKABOSHI -異聞
水滸伝-』
集英社〈ジャンプ・コミックス〉全3巻
1. 「流星の戴宗」2009年10月2日
ISBN 978-4-08-874777-4
2. 「
梁山泊」2009年12月4日
ISBN 978-4-08-874779-8
3. 「108の星」2010年2月4日
ISBN 978-4-08-870001-4