AMX (航空機)

AMX: イタリアとブラジルの共同開発による軽攻撃機

AMXは、イタリアとブラジルによって国際共同開発された軽攻撃機であり、その独特な設計と性能から注目されています。この機体は、アフターバーナーを搭載しない亜音速の特性を持ちながらも、驚異的な武装能力を備えています。軽量コンパクトな設計により、最大で3.8トンの兵器を搭載可能であり、愛称としても「ポケット・トーネード」と呼ばれています。また、イタリア空軍では「ギブリ」という名前が付けられ、ブラジル空軍では「A-1」として知られています。

開発の背景

1970年代中頃、イタリア空軍はG.91R/YとF-104Gスターファイターの後継機として、トーネード IDSを補佐する軽戦闘爆撃機を必要としていました。このニーズを受けて、1977年にアエリタリア（現在のアレーニア・アエルマッキ）が主導し、空軍の要求に基づいた設計作業が始まりました。一方、ブラジル空軍でもAT-26シャバンチの後継機の計画が進行しており、両国の要求が似ていたため、1978年までには共同で設計案を提示する合意に至りました。

AMXプロジェクトは、ロールス・ロイス製のスペイ・エンジンを使用するとされ、1980年3月にはブラジル政府からの承認を経て、本格的に始動しました。開発の際には、コストの抑制と共に、機体の専従化、柔軟性、信頼性、生存性が重視されました。特に、超音速性能は求められず、短距離離着陸能力や武装の多様性、侵攻支援の装置が重要視されました。

試作機と量産

試作機はイタリアで4機、ブラジルで2機が製造され、イタリア製の試作機は1984年5月に初飛行し、ブラジル製は1986年10月に初飛行しました。量産機もその後順次生産され、イタリア空軍向けの初号機は1988年、ブラジル空軍向けの初号機は1989年にそれぞれ初飛行を果たしました。両国空軍への機体引渡しは1989年から開始され、またAMX-Tという複座型も開発されました。

近代化改修と退役

2000年代に入ると、AMXの寿命延長と近代化改修が計画され、アビオニクスの換装やミッションデータリンク機能の追加など多くの改善が盛り込まれました。イタリア空軍では、これらの改修計画が進行し、2005年からはGPSやJTIDSなどを装備した機体が引き渡されています。ブラジル空軍では2025年に退役する予定ですが、イタリア空軍は2024年4月に退役を迎えました。

機体設計と性能

AMXは単発ターボファンエンジンを搭載した単座機で、スーパークリティカル翼を持ち、短距離離着陸能力を高めるための構造を採用しています。最大離陸重量は13,000kgに設定されており、950mの滑走距離での離陸が可能です。さらに、機体には固定武装として航空機関砲が標準装備されており、各国向けに異なるタイプが採用されています。

まとめ

AMXは、国際的な共同開発によって生まれた経済的で機能的な軽攻撃機として、両国の空軍に対して効率的な戦闘能力を提供してきました。その設計理念や開発経緯は、他の軽攻撃機との違いを際立たせており、今後もその影響力が注目されることでしょう。

技術的特性と派生型

この機体にはさまざまな派生型が存在し、単座のAMXやブラジル空軍でのAMX-Tの呼稱があるなど、多様な運用形態が考えられています。特に・技術的特性や能力向上に関しては、近代化改修を通じて現代の戦闘環境に順応する能力を示しています。そのため、AMXは戦闘機市場において長きにわたってその影響を持ち続ける存在となっています。

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