AMX-13

AMX-13：フランス生まれの軽戦車

AMX-13は、第二次世界大戦後、フランスのイシー＝レ＝ムリノー工廠（AMX）で開発された軽戦車です。フランスを中心に、世界各国で採用され、運用されました。

開発と特徴

開発は、第二次世界大戦終結直後の1946年に開始されました。当時、フランスはインドシナやアルジェリアなど、世界各地の植民地における独立運動などの問題を抱えており、海外へ迅速に展開できる空挺戦車が求められていました。そのため、車体は可能な限り小型化する必要があり、乗員席も限界まで切り詰められ、乗員の身長は172cm以下に制限されるほどでした。

この要求を満たすため、AMX-13には様々な新機軸が導入されました。まず、乗員数を減らして車内の容積を削減するため、自動装填装置が採用されました。これは、6発が充填されたリボルバー式弾倉を砲塔内後部左右に設置し、計12発を自動で装填・発射するものでした。榴弾の自動装填は危険とされたため、基本的には弾倉には徹甲弾が装填されました。射撃後、空薬莢は砲塔後部の小型ハッチから車外へ排出されます。弾倉へ補充するためには、狭い車内に用意された即応予備弾を車長が弾倉へ送り込むか、安全な場所へ移動して車外から弾庫の予備弾を取り出し、砲塔上面のハッチを開けて弾倉に再装填する必要がありました。

砲塔には、上下に分割された揺動砲塔が採用されました。この方式は、主砲を固定した上部砲塔がシーソーのように動くことで俯仰を司る仕組みで、小型化や主砲の大口径化、自動装填装置の設置には有利な反面、防御面での脆弱性、俯仰角を大きく取れない、密閉度が低く雨水や汚染された外気が入り込みやすい等の難点がありました。しかし、本車が実用化に成功したことで、開発国のフランスとアメリカ、スウェーデンの興味を引き、1950年代にはこれらの国々も同様の仕組みを持つより大きな砲塔を開発しましたが、実用化には至りませんでした。実用車両で揺動式砲塔を採用したのは、AMX-13とその砲塔を流用したEBR装甲車、SK105キュラシェーア軽戦車のみです。砲塔は車体後部に設置され、エンジンは車体前部左側の操縦席横に配置されています。

主砲は、ナチス・ドイツのV号戦車パンターに搭載された7.5 cm KwK 42を参考に開発された、高性能・高初速の61口径CN-75-50 75mmライフル砲を搭載しました。

AMX-13は1951年に制式採用され、翌年から生産・配備が開始されました。

配備と運用

AMX-13は小型の車体に強力な砲を備えた使いやすい軽戦車であったため、フランス陸軍のみならず、世界各国に輸出されました。イスラエルでは第二次中東戦争前に75mm砲型を150両購入し、機甲旅団の軽戦車大隊や空挺旅団などに配備して実戦で使用しました。当時としては強力な火力は歓迎されましたが、シャーマン戦車に比べて砂漠での機械的信頼性に劣り、故障により脱落する車両が相次ぎました。後に105mm砲を搭載したモデル58も使用されましたが、そのHEAT弾がT-54/55に対してカタログ通りの性能を発揮できず不評であり、装甲の薄い軽戦車としての限界もあり、使用を停止しました。一方、エジプト軍では、M4シャーマンの車体にAMX-13の砲塔を搭載した改造戦車が作られ、第3戦車大隊C中隊に配備され、1956年の第二次中東戦争に実戦投入されました。生き残った車両は第三次中東戦争まで使用されました。

また、75mm砲の砲腔をボーリングして内径を拡大した90mmライフル砲や105mmライフル砲を搭載した型、75mm砲搭載型の砲塔にSS-11やHOT対戦車ミサイルを搭載した型などが生産された他、AMX-VCI歩兵戦闘車、Mk.F3 155mm自走榴弾砲、AMX-13DCA対空自走砲などのファミリー車も開発されました。

フランス軍では、1970年代末からERC 90やAMX-10RCといった装輪式の戦闘偵察車に更新され退役しましたが、現在でも一部の国では改良を加えられた上で使用されています。

派生型

AMX-13は世界中で広く使われたため、各種の派生型・改良型が製造されています。装甲兵員輸送車や自走砲などのファミリー車も多数存在します。

軽戦車/対戦車型
75mm砲装備型
AMX-US（AMX-13チャーフィー）
AMX-13/75 Modèle 51
Leichter Panzer 51
AMX-13/75 Modèle 51改良型
AMX-13 T75 (Char Lance SS-11)
AMX-13 T75 avec TCA
AMX-13S
AMX-13 SM1 (Singapore-Modernised-1)
AMX-13V
90mm砲装備型
AMX-13/90 Modèle 52
AMX-13/90 LRF
105mm砲装備型
AMX-13/105 Modèle 58
AMX-13/105
AMX-13 Model 1987
AMX-13/FL-12 [Modernised] by the Netherlands
AMX-13/FL-15
装甲兵員輸送車仕様
AMX-VTP
AMX-VTT (AMX-VCI)
AMX-LT
AMX-PC
AMX-VCA
AMX-VCI 12.7
AMX-VCI M-56
AMX-VCPM de 81
AMX-VCPM de 120
AMX-VCTB (Vehicule Chenillé Transport Blessés)
AMX-GWT (GeWonden Transport)
AMX-VTT avec tourelle NA2
AMX-VTT Version 1987
AMX-VTT with Minotaur Mine System
AMX-VTT ROLAND
AMX-VTT TOW
AMX-13 RATAC
AMX-13 VCPC
AMX-13 mod.56 VCI
AMX-13 mod.56 [81 mm mortar carrier]
AMX-13 mod.56 [command post]
AMX-13 mod.56 [ENTAC atgm]
AMX-13 mod.56 [cargo]
その他
AMX DOZER
AMX-VCG
自走砲仕様
AMX Mle.61 (AMX-105A)
AMX Mle.61 [Netherlands]
AMX Mle.62 (AMX-105B)
AMX Mle.63 (AMX-105B, AMX Mle F2)
AMX Mle.F3 (Obusier de 155 mm sur affut automoteur AMX-13 T, AMX-155)
AMX-13 [LAR-160]
対空自走砲仕様
AMX-13 S530
AMX-13 DCA 30
AMX-13 DCA 40
AMX-13 ラファーガ
その他の派生型
AMX-13 [DTT]
AMX-13訓練車
AMX-13 Modèle 55 (AMX-D)
AMX-13 PDP (Poseur De Pont) Modèle 51
近代化改修キット
Cockerill
GIAT社
NIMDA Upgrade Package

登場作品

映画
『ジャッカルの日』
ゲーム
『War Thunder』
『ワールドオブタンクス』
『ワールドオブタンクスブリッツ』

関連項目

軽戦車
空挺戦車

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