イシー＝レ＝ムリノー工廠

イシー＝レ＝ムリノー工廠 (AMX)とは

イシー＝レ＝ムリノー工廠（Ateliers de construction d'Issy-les-Moulineaux, 略称AMX）は、かつてフランスのパリ郊外、オー＝ド＝セーヌ県のイシー＝レ＝ムリノーに存在したフランス軍の工廠です。ここでは、軍需品や兵器が製造されていました。

歴史

1936年、ルノー社の軍需品工場が国有化されたことによりAMXは設立されました。その主な役割は、フランス軍向けの戦車や装甲車の開発・生産を行うことでした。しかし、1940年のフランス降伏までには、AMXとしての新規製品開発はほとんど進んでいませんでした。国有化以前にルノー社で製造されていた戦車や装甲車の生産が継続されていたのです。

AMXの名が広く知られるようになったのは、第二次世界大戦後に開発されたAMX-13の成功がきっかけでした。この工廠で開発された装甲戦闘車両には、その略称である"AMX"を冠した車種が多く存在し、この伝統は、第二次世界大戦後にフランス各地の工廠が統合・再編された後も受け継がれていきました。

主な開発製品

AMXでは、以下のような様々な装甲戦闘車両が開発されました。

AMX-40騎兵戦車: 1938年に開発が開始されましたが、フランス降伏により開発は中止されました。
AMX-50: 第二次世界大戦直後に開発された重戦車です。設計変更が繰り返された後、計画は中止となりました。
AMX-13: 第二次世界大戦直後に開発された軽戦車/空挺戦車であり、フランス陸軍および輸出市場で成功を収めました。
AMX-VCI: AMX-13の派生車種として開発された多目的装甲車/装甲兵員輸送車です。
AMX-ELC: 1950年代に開発された空挺戦車ですが、試作のみに終わりました。
AMX-30: 1959年から開発された主力戦車であり、フランス陸軍および輸出市場で成功を収めました。
AMX30 AuF1 155mm自走榴弾砲: AMX-30の車体にGIATで開発されたGCT砲塔システムを搭載した自走砲です。
AMX-10P歩兵戦闘車: 1968年に開発された装軌式歩兵戦闘車です。
AMX-10RC: 1970年に開発された装輪式偵察戦闘車で、AMX-10Pと部品の共通化が図られています。
AMX-32: 1970年代にAMX-30をベースに開発された輸出用主力戦車ですが、販売は振るわず試作のみに終わりました。
AMX-40: 1980年代に開発された輸出用主力戦車ですが、こちらも販売は振るわず試作のみに終わりました。
ルクレール: 1990年代に配備された主力戦車であり、AMXも開発に関わっています。ただし、本車の型式として知られている"AMX-56"は公式なものではないとされています。

関連事項

ピュトー工廠 (APX)
サン＝テティエンヌ造兵廠 (MAS)

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