ANTLR

ANTLR（ANother Tool for Language Recognition）は、LL()構文解析を基盤とするパーサジェネレータです。1989年にPCCTS（Purdue Compiler Construction Tool Set）の後継として開発され、現在も活発な開発が継続されています。このプロジェクトの中心人物は、サンフランシスコ大学のTerence Parr教授です。

ANTLRは、LR法に基づくパーサジェネレータとしばしば比較され、その名前から「反LR」と解釈されることもあります。これは、ANTLRがLR法とは異なるアプローチを採用していることを示唆しています。

ANTLRの大きな特徴の一つは、パーサだけでなく、レキサーやツリーパーサも生成できる点です。これにより、複雑な言語構造を持つプログラムでも、効率的に解析を行うことが可能になります。文法の記述にはEBNFに似た形式が用いられており、可読性が高く、直感的な文法定義が可能です。

ANTLRの最新バージョン（4.7現在）では、Java、Python（2と3）、C#、JavaScript、Go、Swift、C++といった主要なプログラミング言語の構文解析器コードを生成できます。これは、ANTLRが様々な開発環境で幅広く活用できることを意味しています。また、ANTLRはBSD[[ライセンス]]の下で提供されており、商用利用を含め、自由な利用が可能です。

理論的背景

ANTLRの理論的な背景については、公式サイトで公開されている論文を参照すると、より深く理解することができます。

• - LL(): The Foundation of the ANTLR Parser Generator
• - ANTLR: A Predicated-LL(k) Parser Generator

これらの論文では、ANTLRが採用しているLL(*)解析の理論的根拠や、パーサジェネレータとしての詳細な仕組みが解説されています。

統合開発環境

ANTLRの文法記述をサポートするプラグインは、主要な統合開発環境（IDE）向けに多数提供されています。例えば、IntelliJ IDEA、Eclipse、NetBeans、Microsoft Visual Studioなどが挙げられます。これらのプラグインを利用することで、ANTLRの文法ファイルの編集、構文解析、デバッグなどがIDE内でシームレスに行えるようになります。

また、商用製品として、ANTLR Studio for EclipseやANTLR 4 IDEといった専用の開発環境も存在します。これらの製品は、ANTLRを用いた開発をより効率的に進めるための様々な機能を提供しています。

関連項目

ANTLRと関連する他のパーサジェネレータとしては、以下のようなものが挙げられます。

• - JavaCC
• - SableCC
• - Coco/R

これらのツールは、ANTLRと同様に、プログラミング言語やデータ形式の構文解析に利用されています。

外部リンク

ANTLRに関するさらに詳しい情報は、以下の公式リソースを参照してください。

• - 公式ウェブサイト
• - GitHub

- antlr/antlr4 - ANTLRのメインリポジトリ
- antlr/grammars-v4 - 文法ファイル集
- tunnelvisionlabs/antlr4cs - C#版ANTLRライブラリ

IDE

• - ANTLRWorks 2 - ANTLR2向けのIDE
• - JetBrains Plugin Repository :: ANTLR v4 grammar plugin - [IntelliJ IDEA]]向けのプラグイン
• - [ANTLR 4 IDE - Visual Studio Code向けの拡張機能
• - ANTLR Studio for Eclipse - Eclipse向けのプラグイン

チュートリアル

• - antlr/ANTLRWorksを使ってみる - ANTLRWorksの使い方に関する記事
• - antlr/構文木を使った解析 - ANTLRによる構文木解析の解説
• - バーミンガム大学のチュートリアル - ANTLR 2を対象としたチュートリアル

ANTLRは、その柔軟性と強力な機能により、様々な分野で活用されています。プログラミング言語の処理系開発や、DSL（Domain Specific Language）の開発において、その力を発揮します。

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