AN/AAQ-33

AN/AAQ-33 スナイパー照準ポッド

AN/AAQ-33は、ロッキード・マーティンによって開発された先進的な照準ポッドで、LANTIRNシステムの後継として位置付けられています。このポッドは、特に航空機が空対地攻撃を行う際に必要な高精度の目標捕捉機能を提供します。愛称は「スナイパー」で、輸出版は「パンテーラ」と呼ばれています。

特徴および機能

この照準ポッドは、FLIR（前方監視赤外線）、デュアルモードレーザー、レーザー目標追跡装置、レーザー測量機、CCDイメージセンサー、映像データリンクといった多彩な機能を搭載しています。そのため、レーザー誘導兵器だけでなく、GPSによる誘導兵器の運用においても、高精度な座標を提供することができます。特に、サファイアガラス製のウィンドウが特徴のくさび形の先端部は、無制限の回転が可能であり、前後方向には-155度から5度までの自由度を持っている点が注目されます。

加えて、スナイパーは空対空任務にも対応できる設計となっており、受動レーダーによる探知や追尾だけでなく、レーザースポットの追尾機能も備えています。また、ROVERデータリンク機能により、地上部隊と画像や映像情報をリアルタイムで共有することが可能です。メンテナンス性も向上しており、自己診断機能やLRU（Line Replaceable Unit）を用いることで、約20分で保守作業を終えることができるようになっています。

配備状況

本機は2001年にアメリカ空軍の公式照準ポッドに選定されて以来、F-16、F-15E、B-1B、B-52H、A-10Cなど多くの航空機に搭載されています。また、輸出も行われ、複数の国の戦闘機でも使用されています。特に、LANTIRNのフル機能を必要とする航空機は、AN/AAQ-13航法ポッドと組み合わせて使用することが一般的です。さらに、F-35に装備されるAN/AAQ-40電気光学照準装置は、AN/AAQ-33の派生型であり、共通のコンポーネントをいくつか採用しています。

改良と進化

2010年には、CMDL（Compact Multi-band Data Link）が搭載され、デジタルデータの送信能力が向上しました。このことにより、より詳細で高品質な映像をリアルタイムで伝送できるようになりました。また、同年には先進照準ポッド強化計画（ATP-SE：Advanced Targeting Pod – Sensor Enhancement）にも採用され、センサーおよびプロセッサの向上が施されました。スナイパーATP-SEは、2013年から本生産が開始され、2014年には初期作戦能力（IOC）を取得しました。

対応機種

スナイパー照準ポッドは、以下のような様々な機体に対応しています：

• - A-10C
• - B-1B
• - B-52
• - CF-18
• - F-2
• - F-15E
• - F-16
• - トーネード IDS
• - ハリアー GR.9
• - ユーロファイター タイフーン
• - ラファール
• - ミラージュ2000-9
• - FA-50

これにより、アメリカをはじめとする多くの国の空軍が、スナイパーを運用することが可能です。採用国には、インドネシア、エジプト、アラブ首長国連邦、カナダ、日本、サウジアラビアなどが含まれています。

仕様

• - 全長: 252cm
• - 直径: 30.5cm
• - 重量: 202kg
• - FLIR解像度: 640x512ピクセル
• - MABF: 600時間
• - 配備日時: 2005年1月

この照準ポッドは、現代の航空戦における重要な技術の一部として、引き続き多くの航空機に搭載され、高い戦闘能力を発揮しています。

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