AN/SPS-6

AN/SPS-6とその派生型

AN/SPS-6は、ベンディックス社とウェスティングハウス・エレクトリック社が開発した2次元レーダーです。アメリカ海軍では、第二次世界大戦後の第一世代対空捜索レーダーとして広く使用され、同盟国にも輸出されました。本項では、AN/SPS-6の基本設計、改良型のAN/SPS-12、そして各国で開発された派生型について詳細に解説します。

AN/SPS-6

AN/SPS-6は、従来のLバンド対空捜索レーダーであるSR-3やSR-6の後継として開発されました。開発には、地上用可搬式対空レーダーAN/TPS-1の影響が見られます。パラボラアンテナとホーンアンテナを組み合わせた設計を採用し、モジュラー化により艦艇の規模に応じた構成変更が可能でした。初期には以下の3つのバリエーションが存在しました。

-6: アンテナ寸法は18フィート×5フィートで、ビーム幅は3°×10°。戦闘機を150km先で探知できました。
-6A: アンテナ寸法は-6と同じですが、ビーム幅は3°×20°で、戦闘機を130km先で探知可能。
-6B: ビーム幅は3°×30°で、戦闘機を110km先、高度9,400mのB-29爆撃機を269km先で探知できました。

AN/SPS-6の原型機は1948年から海軍への納入が開始され、重巡洋艦「メイコン」で試験運用されました。その後、駆逐艦や空母にも搭載されました。量産型のAN/SPS-6A/Bは1950年から1952年にかけて配備が進められ、レーダーピケット艦やエセックス級空母、インディペンデンス級空母などに搭載されました。しかし、-6は25セット、-6Aは45セット、-6Bは110セットの生産で、改良型の-6Cから-6Eへの生産に移行しました。

• -6Cから-6Eでは、さらなる改良が施され、-6Cはアンテナが軽量化され、-6Bよりも軽量化されたものの、衝撃耐性が低下し、回転速度も抑えられました。-6Dは-6Cから敵味方識別装置（IFF）を省いたもので、-6Eは送信機を改良した最終型です。

AN/SPS-12

AN/SPS-12は、AN/SPS-6Cを基にした大幅な改良型です。[アンテナ]]の軽量化やパルス繰り返し周波数]の向上などが行われました。[[アンテナは17フィート×6フィート、重量は550ポンドと軽量化されています。PRFは300または600ppsでした。レーダー覆域はAN/SPS-6Bと同程度でした。また、風速70ノットまでの環境下で使用可能でした。

1953年9月に最初の機体が納入され、その後、より強力な送信機を搭載したモデルでは、ジェット機を170km、最大370km先まで探知可能となりました。改良型として-12Bが開発されましたが中止となり、その後、RCAパラメトリック増幅器を導入した-12Cが配備されました。AN/SPS-12シリーズはアメリカ国内で139セット生産されたほか、イタリアでもライセンス生産が行われ、AN/SPS-6と共に派生型の基礎となりました。

後継機として、AN/SPS-28（AN/SPS-17の小型版）が1957年から配備されましたが、その後、より高性能なAN/SPS-29に取って代わられました。これらの後継機種は、UHFバンドを使用していました。

派生型

OPS-1/2（日本）

1950年代初頭、海上自衛隊はアメリカからAN/SPS-6を入手し、それを基に国産化したOPS-1を開発しました。OPS-1は、はるかぜ型護衛艦や初代あきづき型護衛艦に搭載されました。また、あやなみ型護衛艦にはAN/SPS-12が搭載され、その技術は後にOPS-1にも応用されました。いすず型護衛艦には、送受信機は同じでアンテナを小型化したOPS-2が搭載されました。OPS-2のPV-2哨戒機に対する最大探知距離は93kmでした。

1次防（昭和33～35年度）では、OPS-1は甲型警備艦、OPS-2は乙型警備艦に搭載されましたが、2次防以降はP(B)バンドのOPS-11が搭載されるようになりました。その後、OPS-1/2を基にOPS-14が開発され、3次防以降の乙型警備艦や補助艦、一部の汎用護衛艦に搭載されました。

搭載艦

OPS-1: あやなみ型、むらさめ型、あきづき型（初代）
* OPS-2: いかづち型、いすず型、きたかみ型

SPS-501（カナダ）

カナダでは、AN/SPS-12の送信機とオランダのシグナール社製LW-03アンテナを組み合わせてSPS-501が開発されました。1967年に空母「ボナヴェンチャー」に搭載され、イロクォイ級ミサイル駆逐艦にも搭載されていました。

これらのレーダーシステムは、アメリカ海軍だけでなく、同盟国においても重要な防空戦力となりました。また、技術発展の過程において、後継機種や派生機種に技術が引き継がれていく重要な例と言えるでしょう。

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