AN/UYK-20

AN/UYK-20：アメリカ海軍の小型コンピュータ

AN/UYK-20は、UNIVAC（後のユニシス）がアメリカ海軍のニーズに応じて開発したコンピュータで、主に射撃指揮システムなどに利用されました。このコンピュータは、AN/UYK-7を補完するために設計されたミニコンピュータとして、1974年から量産が開始されました。

機器開発の背景

アメリカ海軍は1971年8月に戦術情報処理システム室（TADSO）を設け、コンピュータの効率的な運用を目指しました。当時、AN/UYK-7が導入されておりましたが、その大型のメインフレームでは多くの部門の要求に応えることが困難でした。特に、より手軽に使用できるミニコンピュータが求められており、そのニーズに対して応えようとしました。

TADSOはこの問題を解決するため、民間の小型コンピュータを設計し、1972年8月には仕様書を完成、海軍電子システムズコマンド（NAVELEX）に開発を依頼しました。各社からの提案を評価した結果、コントロール・データ・コーポレーションやゼネラル・エレクトリック、レイセオン、UNIVACの四社が選ばれました。最もコストパフォーマンスの高かったUNIVACに対し、1973年4月に発注が行われ、翌1974年5月からは実際の量産が始まりました。

AN/UYK-20の特徴

AN/UYK-20は、当時のアメリカ海軍の海上作戦における戦術情報処理において非常に重要な役割を果たしました。特に、この機種は海軍の制式コンピュータとして初めて16ビットのマイクロプロセッサを使用しており、283の命令セットを持つことで、さまざまなデータ処理が可能となりました。

主記憶装置には磁気コアメモリが使用され、最低でも8キロワードから最大で64キロワードのメモリ容量を持ち、発展型のUYK-20Aではさらに大きな32－262キロワードに拡張されました。サイズはコンパクトで、高さは0.51メートル、幅は0.48メートル、奥行きは0.61メートルと非常に小型化が進んでいます。しかし、その小ささに反して、初期のUYK-7モデルよりも高い性能を発揮しました。

また、この機種はMTBF（平均故障間隔）2,000時間という耐久性が求められていましたが、当初は基準に満たない結果も見られました。それでも1981年には12,096時間を超える実績を達成し、その信頼性が証明されました。これにより、AN/UYK-20は海軍の新たな戦術情報処理の基盤として広く運用されていったのです。

その後の発展

AN/UYK-20は、後にAN/UYK-44によって置き換えられることになりましたが、その運用実績や技術的な革新は、米国海軍の情報処理システムの発展に大いに寄与しました。また、AN/UYK-20の設計思想は、その後のコンピュータ技術にも影響を与え、多くの後継機材に活かされています。

このように、AN/UYK-20の開発は、海軍の戦術的運用において非常に重要な出来事であり、その記録と成果は今日に至るまで多くの歴史的役割を果たしています。

もう一度検索