ASMクレルモン・オーヴェルニュ

フランスのラグビーユニオン界において、確固たる地位を築く強豪クラブ、アソシアシオン・スポルティヴ・モンフェランデーズ・クレルモン・オーヴェルニュ（Association Sportive Montferrandaise Clermont Auvergne）は、フランス中部、オーヴェルニュ地方の中心都市クレルモン＝フェランに本拠地を置いています。フランス国内最高峰のプロフェッショナルリーグである「トップ14」に名を連ねています。

クラブの歴史は、著名なタイヤメーカー、ミシュランの創業者アンドレ・ミシュランの息子、マルセル・ミシュランによって1911年に「ASミシュラン」として産声を上げたことに始まります。その後、1922年には法的な事情から「ASモンフェランデーズ」へと名称を変更し、2004年に現在のクラブ名となりました。しかし、その伝統と歴史から、現在でも国内外で親しみを込めて「モンフェラン」と呼ばれることが少なくありません。

ASMクレルモンは、特に国内選手権において、長きにわたり優勝に手が届かないという苦難の歴史を歩んできました。1936年から2001年にかけて、実に7度も決勝の舞台に進出しながら、いずれも惜しくも準優勝に終わるという、いわゆる「万年2位」の時期を経験します。2002年頃には一時チームの成績が低迷しましたが、不屈の精神で立ち直り、2007年からの3シーズン連続準優勝という再び壁にぶつかりながらも、2010年の決勝でUSAペルピニャンを打ち破り、ついに悲願の初優勝を果たしました。さらに2017年にも再び国内王者に輝き、合計2度のトップ14優勝を果たしています。

欧州の舞台、クラブ最高峰大会であるハイネケンカップ（現：ヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップ）においても、その実力を遺憾なく発揮しています。2013年、2015年、そして2017年と、計3度にわたり決勝へと駒を進めましたが、いずれも同じフランスの強豪RCトゥーロンの前に屈し、準優勝という結果に終わっています。国内外の主要タイトルにおいて、決勝での惜敗が多いことも、このクラブの歴史を語る上で特筆すべき点と言えるでしょう。

また、ASMクレルモンは日本ラグビーとの関わりも持ちます。2002年には、当時日本代表のスター選手であった大畑大介が移籍加入の交渉を行いましたが、残念ながら正式契約には至りませんでした。しかし、2019年にはチームが実際に日本を訪れ、トップリーグ選抜との試合を行い勝利を収めるなど、交流があります。そして、日本代表の快足WTB/FBである松島幸太朗が、2020年の国内シーズン終了後、2年契約でこのクラブに移籍し、2022年までその一員としてプレーしました。

主な獲得タイトル

ASMクレルモンがこれまでに獲得した主なタイトルは以下の通りです。

国内タイトル
フランス選手権（トップ14）：優勝 2回（2010年, 2017年）
フランス選手権（トップ14）：準優勝 12回（1936年, 1937年, 1970年, 1978年, 1994年, 1999年, 2001年, 2007年, 2008年, 2009年, 2015年, 2019年）

国際タイトル
* ハイネケンカップ／ヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップ：準優勝 3回（2013年, 2015年, 2017年）

クラブを彩る選手たち

ASMクレルモンは、その長い歴史の中で、数多くの世界的な名選手を輩出してきました。特にフランス代表選手が多く在籍し、オーレリアン・ルジュリー、バンジャマン・ケイゼル、モルガン・パラ、カミーユ・ロペス、ウェスレイ・フォファナ、ダミアン・プノーといったスター選手たちがクラブの栄光に貢献しています。また、南アフリカ代表主将のジョン・スミット、ニュージーランド代表のホゼア・ギア、ルーク・マカリスター、イサイア・トエアヴァ、スコットランド代表のグレイグ・レイドローなど、南半球や他の国の代表選手も数多く所属し、クラブのレベル向上に貢献しました。前述の通り、日本代表の松島幸太朗も名を連ねています。これらの偉大な選手たちの存在が、ASMクレルモンの歴史と評判を形作っています。

常にトップレベルでの競争を続けるASMクレルモン・オーヴェルニュは、フランスラグビー界において、その情熱的で攻撃的なプレースタイル、そして不屈の精神で多くのファンを魅了し続けています。

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