AURORA (アルバム)

アルバム『AURORA』の概要

『AURORA』は、平沢進が1994年2月25日にポリドールからリリースした4枚目のアルバムです。この作品は、前作『Virtual Rabbit』から約3年の歳月を経て発表されました。また、2014年にはユニバーサルミュージックジャパンからデジタル・リマスター版としてSHM-CDも発売され、より多くのリスナーに親しまれています。

アルバム制作の背景

このアルバム制作において平沢進は、P-MODELとの違いを明確にするため、サウンドよりも歌に重心を置く方針を採用しました。特筆すべきは、初めてコーラスやゲストミュージシャンを一切招かず、完全に独力での音楽制作が行われている点です。これは、彼がAMIGAのシーケンサー「Bars & Pipes」を活用し、自己完結した音楽を追求した結果です。このことから『AURORA』は、平沢の独特なスタイルを確立する重要な作品として位置づけられています。平沢自身は「オーケストレーションは手抜きだ」と表現しているように、音楽的なアプローチが一新されたことが窺えます。

アートワークとライブへの影響

アルバムの初期の段階では、宮沢賢治を模したキャラクターがジャケットを飾る構想もあったようですが、最終的にはライブ「平沢三幕三時間」の衣装が流用される形になりました。このようなバックグラウンドは、平沢が持つ独特の美的感覚を反映したものです。さらには、このアルバムから『インタラクティブ・ライブ・ツアー』が始まるなど、彼のライブパフォーマンスにも多大な影響をもたらしました。

収録曲の詳細

『AURORA』には、以下の楽曲が収められています。

• - 石の庭 - STONE GARDEN
• - LOVE SONG

この曲のデモ音源は、照明と吸音材で工夫を凝らしたゴミ箱の中で録音されました。2003年には「LOVE SONG 2003」として再録音され、戦地にいる子供たちへのメッセージが込められています。

• - オーロラ - AURORA

この曲は、平沢進のラジオ番組「平沢進のテクノ実験工房」でエンディングテーマに使用され、様々なアレンジがなされています。特に新しいバージョンは、フジロックフェスティバルでも披露されました。

• - 力の唄 - SONG OF THE FORCE
• - 舵をとれ - TAKE THE WHEEL

この曲はブラック・サバスの「スーパーナート」に似た要素があり、パワフルなビートが特徴です。

• - スノーブラインド - SNOW BLIND

宮沢賢治の作品を引用した歌詞が深さを加えています。

• - 風の分身 - THE DOUBLE OF WIND
• - 広場で - IN THE SQUARE

同曲は後にセルフカバーが行われました。

• - トビラ島（パラネシアン・サークル） - ISLAND DOOR (PARANESIAN CIRCLE)

平沢のソロ活動において最も長い楽曲で、ラジオ番組の最終回でも取り上げられました。

• - 呼んでるベル - RINGING BELL

これらの曲は、全て平沢の手による作詞・作曲・編曲が施され、独自の世界観を築き上げています。
また、このアルバムにより平沢進は、以後もコンピュータを駆使した音楽制作を続けていく道を選びました。『AURORA』は、彼の音楽キャリアにおいて新たなスタートを切った作品として多くのファンに愛されています。

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