Acacia (松任谷由実のアルバム)

松任谷由実『acacia (アケイシャ)』徹底解説

2001年6月6日にリリースされた松任谷由実（ユーミン）の31枚目のオリジナルアルバム『acacia (アケイシャ)』。前年のコンサートツアーの影響を受け、当初は弾き語り中心のアルバムとして構想されていましたが、タイアップの増加などにより、最終的にはユーミン史上最多となる14曲が収録されました。

アルバムタイトルは英語でアカシアを意味する「acacia」。ジャケットはラナデザインが手掛け、東京ADC2002に入選するなど、デザイン面でも高い評価を得ています。

収録曲解説

アルバムには、バラエティ豊かな楽曲が収録されています。以下に収録曲と、その背景について解説します。

1. Age of our innocence: 前半は打ち込み中心、後半は生バンド主体の演奏で、「きみがいれば汚れない」というテーマが込められています。

2. 哀しみをください

3. 110°F: タイトルの意味は華氏の温度で、摂氏に換算すると43.3℃。南国での投身自殺を歌った、衝撃的な内容の楽曲です。

4. リアリティ: m-floのボーカル、LISAをゲストに迎えた楽曲。ユーミンの大ファンでもあるLISAとのコラボレーションが実現しました。

5. MIDNIGHT RUN: 三角関係の愛に破れた男の心情を描いた、ドラマティックな一曲です。

6. acacia [アカシア]: アルバムのタイトル曲。桜が散る時期に作詞を始めたものの、コンサートツアーで訪れた能登のアカシアの風景からインスピレーションを得て完成しました。アルバムタイトルとは異なり、フランス語読みとなっています。ユーミンのバラードベストにも複数回収録されるなど、評価の高い楽曲です。2024年には能登半島地震のチャリティーシングルとしてシングルカットされ、新たにミュージックビデオも制作されました。

7. Summer Junction: MITSUBISHI MOTORS「軽自動車キャンペーン」CMソング。コンサートで披露された際、「どこかで寄り道」という歌詞が「戻って寄り道」になっていたというエピソードがあります。

8. TWINS: NHK教育テレビ 海外少年少女ドラマ『アニマル・レスキュー・キッズ』テーマソング。シングル『幸せになるために』のカップリング曲として先行リリースされました。

9. Song For Bride: シングル『7TRUTHS 7LIES〜ヴァージンロードの彼方で』のカップリング曲。

10. Lundi: 大地真央に提供した「失恋」が原曲。Lundiはフランス語で「月曜日」を意味します。

11. So long long ago: シングル『PARTNERSHIP』のカップリング曲。シングルではユーミンがピアノを演奏していましたが、アルバムでは松任谷正隆の演奏に差し替えられました。

12. 幸せになるために: TBS系全国ネット『ウンナンのホントコ!/未来日記VIII』テーマソング。番組内でタイトルが発表されたのは放送2週目からでした。タイトルをめぐっては短い英語のタイトルも候補に挙がっていたそうです。

13. 7 TRUTHS 7 LIES〜ヴァージンロードの彼方で: フジテレビ系全国ドラマ『ムコ殿』主題歌。アルバム制作の最後に作られた曲で、タイトルをめぐり米国人ミュージシャンの間で意見が分かれるも、最終的に複数形が正しいことが判明し、タイトルが決定したというエピソードがあります。

14. PARTNERSHIP [after]: 日本テレビ系「シドニーオリンピック」イメージソング。シングルとしてリリースされたものを、アルバム収録にあたりキーを高くして再録されました。

参加ミュージシャン

本作には、松任谷正隆をはじめ、Vinnie Colaiuta、Neil Stubenhaus、Dean Parksなど、国内外の著名なミュージシャンが多数参加しています。彼らの卓越した演奏が、アルバムに深みと奥行きを与えています。

『acacia (アケイシャ)』は、ユーミンの音楽性の幅広さと、常に新しい挑戦を続ける姿勢が感じられる作品です。ぜひ、じっくりと聴き込んで、その魅力を堪能してください。

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