Adobe Creative Suite
Adobe Creative Suite（アドビ クリエイティブスイート、以下CS）は、アドビが開発・販売していた、グラフィックデザイン、動画編集、ウェブデザインなどの分野を網羅するアプリケーションソフトウェアの統合パッケージです。略称としてCSという名称が用いられていました。
2003年に最初のバージョンが発売されて以来、約1年半から2年ごとにバージョンアップを重ねてきました。しかし、2012年5月7日にCS6がリリースされると同時に、月額利用料を支払うサブスクリプション制度のAdobe Creative Cloudが導入されました。これにより、ソフトウェアだけでなく各種オンラインサービスも利用可能となりました。さらに、2013年5月6日にはCreative SuiteはCreative Cloudへ移行することが発表され、CSシリーズとしての新規販売は終了しました。
CSは、アドビのデザインツールをまとめた統合パッケージとして、2003年（日本語版は2004年1月）に最初のバージョンが発売されました。以前は、Adobe Design Collectionなど、特定の用途に特化したソフトウェアパッケージが販売されていましたが、各ソフトウェアが独立した開発スケジュールで進められていたため、バージョン管理が煩雑であり、ライセンスもソフトウェアごとに管理する必要がありました。
CSでは、Adobe Acrobatを除き、個々のソフトウェアの開発が統合パッケージの発売に合わせて行われるようになり、各ソフトウェア間の連携が強化され、データ交換が容易になりました。また、各ソフトウェアのバージョン表記もCSのバージョンに合わせて統一されました。
ライセンスについても、CSの各統合パッケージは「Adobe Creative Suite」という一つのライセンスで管理されるようになりました。この変更により、シリアル管理の一元化などのメリットがありましたが、ライセンス形態の変更に伴い、アップグレードはCSの統合パッケージ単位で行う必要があり、単体製品のアップグレード版を利用することはできなくなりました。ただし、CS発売後も、Acrobatについては、CS5まではCSとは独立したライセンスが与えられていました。
Creative Suite 1
最初のバージョンは、アメリカで2003年10月27日、日本では2004年1月中旬に発売されました。StandardとPremiumの2つのパッケージが存在しました。2004年には、Adobe Acrobat Professionalの新バージョンが発売されたことに伴い、Premiumに含まれる同ソフトをバージョン6から7に入れ替えたものが、CS 1.3 Premiumとして販売されました。
Creative Suite 2
アメリカでは2005年5月、日本では2005年7月上旬に発売されました。Adobe Bridgeなどの追加要素がありましたが、基本的な構成はCSと同じで、StandardとPremiumの2つのパッケージが存在しました。マクロメディアの買収後、PremiumにMacromedia Flash Professional 8を加えたAdobe Design Bundle、Macromedia Studio 8を加えたAdobe Web Bundleが発売されました。これらの製品はCS2とのセット販売という位置づけであったため、CS2とAcrobatのライセンスとは別に、旧マクロメディア製品のライセンスも取得することができました。2006年9月には、CS 2.3が発売されました。これは、Acrobatのバージョン7から8への差し替えに加え、Macromedia Dreamweaver 8が新たに同梱されました。2013年1月8日、CS2のアクティベーションサーバーが停止されたため、救済措置としてアクティベーションを無効化したCS2が公開されました。Adobe IDを取得すれば誰でもダウンロードできますが、アドビはCS2購入者以外が利用することはライセンス違反になる可能性があると主張しています。
Production Studio
2006年に発売された、映像編集に特化したシリーズで、Adobe Video Collectionの後継にあたります。このシリーズはWindows版のみの販売で、Macintoshには対応していませんでした。既存製品をパッケージした形でのリリースであったため、バージョン表記の統一は行われませんでした。StandardとPremiumの2つのパッケージが存在しました。マクロメディアの買収後、Macromedia Flash Professional 8を加えたAdobe Video Bundleが発売されました。
Creative Suite 3
アメリカでは2007年4月16日、日本ではProduction PremiumとMaster Collectionを除き2007年6月中旬、その二つは同年7月下旬に発売されました。2005年にアドビがマクロメディアを吸収合併したことを受け、エディションや同梱されるソフトウェアの再編が行われました。例えば、アドビのWebオーサリングソフトであるGoLiveが、マクロメディアのDreamweaverに切り替えられました。
Creative Suite 4
アメリカでは2008年10月15日、日本では同年12月に発売されました。主に64ビットやマルチコアに対応したコンピュータへの強化が図られ、特にPhotoshopは64ビット版のWindows NT6.xに限るものの、64ビット環境に完全に準拠していました。After EffectsとPremiere Proも64ビット環境に最適化されました。すべてのソフトウェアが、インテルベースのMac OS Xで実行可能となりました。CS3にあったAdobe UltraとAdobe Stock Photosは削除され、映像及び音声関連を取り扱うAfter Effects、Premiere Pro、Soundbooth、Encore、OnLocationはPower Macでは動作対象外となりました。
Creative Suite 5
アメリカではダウンロード版が2010年4月30日、パッケージ版が5月中旬、日本ではいずれも同年5月28日に発売されました。主に64ビット版のオペレーティングシステムやマルチコアに対応したコンピュータへのさらなる強化が図られ、After EffectsとPremiere Proはいずれも64ビット版のみのリリースとなりました。一方で、Acrobat Pro（PDF仮想プリンタドライバはCS3.3以降は64ビット対応）やInDesignなどは、64ビット版のオペレーティングシステムにおいてもWOW64などによる32ビット互換アプリとして動作する32ビット版のみのリリースとなりました。つまり、64ビット版と32ビット版のコンポーネントが混在していました。Production PremiumとMaster CollectionのWindows版には、32ビット環境でも使用できるように、Premiere ProとAfter EffectsのCS4が同梱されました。また、CS3から存在したWeb StandardはWeb Premiumへの一本化に伴って廃止され、CS1からCS4までバンドルされていたバージョン管理ソフトウェアAdobe Version Cueが削除されました。
Creative Suite 5.5
日本では2011年5月20日に発売されました。本バージョンから、月額単位で製品を利用できるサブスクリプション制度が導入されました。SoundBoothがAuditionに変更され、ライセンスについても変更があり、CS5まではCSから独立したライセンスが与えられていたAcrobatもCSシリーズのライセンスに統合されました。これまでは約1年半周期でメジャーバージョンアップが行われていましたが、CS5.5以降は12ヶ月周期で「.5」を挟んだ24ヶ月周期でアップデートされることになりました。
Creative Suite 6
英語版が2012年5月7日、日本語版が5月11日に発売されました。大きな変更点として、サブスクリプション制度を採用したCreative Cloudが新設され、既存のエディションではDesign PremiumとWeb Premiumが統合されてDesign & Web Premiumとしてリリースされました。Creative Cloudへの移行に伴い、CS6はCreative Suiteの最終バージョンとなりました。ソフトウェア面では、Adobe Flash Catalyst, Adobe Contribute, Adobe OnLocation, Adobe Device Central, Adobe Dynamic LinkがCS6から削除されました。価格は、Design Standardが166,950円、Design PremiumとWeb Premiumが249,900円、Master Collectionが334,950円でした。
CSシリーズは、クリエイターにとって欠かせないツールでしたが、Creative Cloudへの移行によって、その歴史に幕を閉じました。しかし、CSで培われた技術と概念は、現在のCreative Cloudに引き継がれています。
概要
2003年に最初のバージョンが発売されて以来、約1年半から2年ごとにバージョンアップを重ねてきました。しかし、2012年5月7日にCS6がリリースされると同時に、月額利用料を支払うサブスクリプション制度のAdobe Creative Cloudが導入されました。これにより、ソフトウェアだけでなく各種オンラインサービスも利用可能となりました。さらに、2013年5月6日にはCreative SuiteはCreative Cloudへ移行することが発表され、CSシリーズとしての新規販売は終了しました。
CSは、アドビのデザインツールをまとめた統合パッケージとして、2003年（日本語版は2004年1月）に最初のバージョンが発売されました。以前は、Adobe Design Collectionなど、特定の用途に特化したソフトウェアパッケージが販売されていましたが、各ソフトウェアが独立した開発スケジュールで進められていたため、バージョン管理が煩雑であり、ライセンスもソフトウェアごとに管理する必要がありました。
CSでは、Adobe Acrobatを除き、個々のソフトウェアの開発が統合パッケージの発売に合わせて行われるようになり、各ソフトウェア間の連携が強化され、データ交換が容易になりました。また、各ソフトウェアのバージョン表記もCSのバージョンに合わせて統一されました。
ライセンスについても、CSの各統合パッケージは「Adobe Creative Suite」という一つのライセンスで管理されるようになりました。この変更により、シリアル管理の一元化などのメリットがありましたが、ライセンス形態の変更に伴い、アップグレードはCSの統合パッケージ単位で行う必要があり、単体製品のアップグレード版を利用することはできなくなりました。ただし、CS発売後も、Acrobatについては、CS5まではCSとは独立したライセンスが与えられていました。
各バージョンの構成
Creative Suite 1
最初のバージョンは、アメリカで2003年10月27日、日本では2004年1月中旬に発売されました。StandardとPremiumの2つのパッケージが存在しました。2004年には、Adobe Acrobat Professionalの新バージョンが発売されたことに伴い、Premiumに含まれる同ソフトをバージョン6から7に入れ替えたものが、CS 1.3 Premiumとして販売されました。
Creative Suite 2
アメリカでは2005年5月、日本では2005年7月上旬に発売されました。Adobe Bridgeなどの追加要素がありましたが、基本的な構成はCSと同じで、StandardとPremiumの2つのパッケージが存在しました。マクロメディアの買収後、PremiumにMacromedia Flash Professional 8を加えたAdobe Design Bundle、Macromedia Studio 8を加えたAdobe Web Bundleが発売されました。これらの製品はCS2とのセット販売という位置づけであったため、CS2とAcrobatのライセンスとは別に、旧マクロメディア製品のライセンスも取得することができました。2006年9月には、CS 2.3が発売されました。これは、Acrobatのバージョン7から8への差し替えに加え、Macromedia Dreamweaver 8が新たに同梱されました。2013年1月8日、CS2のアクティベーションサーバーが停止されたため、救済措置としてアクティベーションを無効化したCS2が公開されました。Adobe IDを取得すれば誰でもダウンロードできますが、アドビはCS2購入者以外が利用することはライセンス違反になる可能性があると主張しています。
Production Studio
2006年に発売された、映像編集に特化したシリーズで、Adobe Video Collectionの後継にあたります。このシリーズはWindows版のみの販売で、Macintoshには対応していませんでした。既存製品をパッケージした形でのリリースであったため、バージョン表記の統一は行われませんでした。StandardとPremiumの2つのパッケージが存在しました。マクロメディアの買収後、Macromedia Flash Professional 8を加えたAdobe Video Bundleが発売されました。
Creative Suite 3
アメリカでは2007年4月16日、日本ではProduction PremiumとMaster Collectionを除き2007年6月中旬、その二つは同年7月下旬に発売されました。2005年にアドビがマクロメディアを吸収合併したことを受け、エディションや同梱されるソフトウェアの再編が行われました。例えば、アドビのWebオーサリングソフトであるGoLiveが、マクロメディアのDreamweaverに切り替えられました。
Creative Suite 4
アメリカでは2008年10月15日、日本では同年12月に発売されました。主に64ビットやマルチコアに対応したコンピュータへの強化が図られ、特にPhotoshopは64ビット版のWindows NT6.xに限るものの、64ビット環境に完全に準拠していました。After EffectsとPremiere Proも64ビット環境に最適化されました。すべてのソフトウェアが、インテルベースのMac OS Xで実行可能となりました。CS3にあったAdobe UltraとAdobe Stock Photosは削除され、映像及び音声関連を取り扱うAfter Effects、Premiere Pro、Soundbooth、Encore、OnLocationはPower Macでは動作対象外となりました。
Creative Suite 5
アメリカではダウンロード版が2010年4月30日、パッケージ版が5月中旬、日本ではいずれも同年5月28日に発売されました。主に64ビット版のオペレーティングシステムやマルチコアに対応したコンピュータへのさらなる強化が図られ、After EffectsとPremiere Proはいずれも64ビット版のみのリリースとなりました。一方で、Acrobat Pro（PDF仮想プリンタドライバはCS3.3以降は64ビット対応）やInDesignなどは、64ビット版のオペレーティングシステムにおいてもWOW64などによる32ビット互換アプリとして動作する32ビット版のみのリリースとなりました。つまり、64ビット版と32ビット版のコンポーネントが混在していました。Production PremiumとMaster CollectionのWindows版には、32ビット環境でも使用できるように、Premiere ProとAfter EffectsのCS4が同梱されました。また、CS3から存在したWeb StandardはWeb Premiumへの一本化に伴って廃止され、CS1からCS4までバンドルされていたバージョン管理ソフトウェアAdobe Version Cueが削除されました。
Creative Suite 5.5
日本では2011年5月20日に発売されました。本バージョンから、月額単位で製品を利用できるサブスクリプション制度が導入されました。SoundBoothがAuditionに変更され、ライセンスについても変更があり、CS5まではCSから独立したライセンスが与えられていたAcrobatもCSシリーズのライセンスに統合されました。これまでは約1年半周期でメジャーバージョンアップが行われていましたが、CS5.5以降は12ヶ月周期で「.5」を挟んだ24ヶ月周期でアップデートされることになりました。
Creative Suite 6
英語版が2012年5月7日、日本語版が5月11日に発売されました。大きな変更点として、サブスクリプション制度を採用したCreative Cloudが新設され、既存のエディションではDesign PremiumとWeb Premiumが統合されてDesign & Web Premiumとしてリリースされました。Creative Cloudへの移行に伴い、CS6はCreative Suiteの最終バージョンとなりました。ソフトウェア面では、Adobe Flash Catalyst, Adobe Contribute, Adobe OnLocation, Adobe Device Central, Adobe Dynamic LinkがCS6から削除されました。価格は、Design Standardが166,950円、Design PremiumとWeb Premiumが249,900円、Master Collectionが334,950円でした。
CSシリーズは、クリエイターにとって欠かせないツールでしたが、Creative Cloudへの移行によって、その歴史に幕を閉じました。しかし、CSで培われた技術と概念は、現在のCreative Cloudに引き継がれています。
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