Adobe Director
Adobe Director（アドビ ディレクター）は、かつてアドビシステムズ（旧マクロメディア）が開発・販売していた、マルチメディアオーサリングソフトウェアです。主に、簡単な3Dアニメーションやインタラクティブなコンテンツを作成するために用いられていました。
Directorは、元々Classic Mac OS専用のアプリケーションである「Video Works」として開発が始まりました。1987年に現在の「Director」という名称に変更されました。1990年代には、3Dゲームの制作に広く利用され、インターネット上で公開されていた多くの3DゲームがDirectorによって作成されました。また、CD-ROMやDVDコンテンツの制作にも広く用いられました。
Directorは、パブリッシュという機能を用いて、Web用（Adobe Shockwave形式）、Windows用、Mac OS用の実行形式を生成できます。Director 12では、パブリッシュによりiOSアプリを生成することも可能でした。オープンなWeb形式での出力はできませんでしたが、ブラウザのプラグインとして動作するAdobe Shockwave形式で出力し、動作させることができました。このShockwaveは、アドビシステムズの公式ウェブサイトなどから無料で配布されていました。
Directorは、以下のような用途で利用されていました。
企業プレゼンテーション：プレゼンテーションソフトウェアとして利用
CD-ROMタイトル：CD-ROMやDVDのコンテンツ制作
デジタルキオスク：キオスク端末で動作するソフトウェアの制作
デジタル出版：ウェブサイトなどの作成
インタラクティブ広告：メニュー等による顧客の志向を取り入れた広告
ソフトウェアデモンストレーション：ネイティブアプリケーション開発前のプロトタイプ作成や、動作するソフトウェアのデモ版作成
Directorでは、タイムライン上に画像や音声を配置し、アニメーションを作成するのが基本です。マウスのクリックやカーソルの動き、フレームの再生などのイベントを検知して、任意のタイムラインにジャンプさせることで、メニューやゲームなどの機能を実現していました。これらの機能はGUIで設定可能でしたが、内部的にはLINGO（リンゴ）というスクリプト言語が自動的に挿入されていました。
LINGOは、より複雑な制御やタイムラインに依存しないアニメーションの作成を可能にするスクリプト言語です。公式マニュアルでは、タイムラインやイベント検知によるコンテンツ作成を分かりやすく説明していた一方で、LINGOスクリプトの説明は、英語版のサンプルプロジェクトを参照しながら習得する必要がありました。このサンプルプロジェクトは、マルディグラや宮廷道化師をテーマにしたものであり、英語での説明、当時のオブジェクト指向の普及状況などから、LINGOの習得は困難でした。
XTRA（エクストラ）と呼ばれるDLLによるネイティブバイナリープログラムを呼び出す仕組みがありましたが、OSのビット数や種類によって互換性がなく、実行中の切り替えができないため非常に使いにくいものでした。また、開発仕様の公開も限定的でした。ローカルファイルへの入出力を行うためのXTRAも存在しましたが、動作プラットフォームに強く依存していたため、マルチプラットフォーム対応にするには、プラットフォームごとに完全に別のコンテンツを作成する必要がありました。
1985年: MacroMind VideoWorks
1987年: MacroMind VideoWorks II
1988年: MacroMind Director 1.0
1988年: MacroMind Director 2.0
1989年: MacroMind Director 3.0
1993年: Macromedia Director (バージョン3.1.3)
1993年: Macromedia Director 4
1996年: Macromedia Director 5
1997年: Macromedia Director 6
1998年: Macromedia Director 7
Macromedia Director 7 Shockwave Studio
Macromedia Director 7 Lite
2000年: Macromedia Director 8
Macromedia Director 8.5 Shockwave Internet Studio
2002年: Macromedia Director MX (バージョン9)
2004年: Macromedia Director MX 2004 (バージョン10)
(2005年12月3日、Adobe SystemsがMacromediaを買収)
2008年: Adobe Director 11
2009年: Adobe Director 11.5
2013年: Adobe Director 12.0
Directorは、2017年1月27日に販売とサポートが終了しました。
Adobe Director home
Laugh Jester at Mardi Gras Macromedia Director 5.0 Sample Movie Lingo Lore Adobe Macromind Cast
Mardi Gras (Macromedia Director 5.0 Sample Movie)
Macromedia Director 5 (1996) promo
概要
Directorは、元々Classic Mac OS専用のアプリケーションである「Video Works」として開発が始まりました。1987年に現在の「Director」という名称に変更されました。1990年代には、3Dゲームの制作に広く利用され、インターネット上で公開されていた多くの3DゲームがDirectorによって作成されました。また、CD-ROMやDVDコンテンツの制作にも広く用いられました。
Directorは、パブリッシュという機能を用いて、Web用（Adobe Shockwave形式）、Windows用、Mac OS用の実行形式を生成できます。Director 12では、パブリッシュによりiOSアプリを生成することも可能でした。オープンなWeb形式での出力はできませんでしたが、ブラウザのプラグインとして動作するAdobe Shockwave形式で出力し、動作させることができました。このShockwaveは、アドビシステムズの公式ウェブサイトなどから無料で配布されていました。
利用用途
Directorは、以下のような用途で利用されていました。
企業プレゼンテーション：プレゼンテーションソフトウェアとして利用
CD-ROMタイトル：CD-ROMやDVDのコンテンツ制作
デジタルキオスク：キオスク端末で動作するソフトウェアの制作
デジタル出版：ウェブサイトなどの作成
インタラクティブ広告：メニュー等による顧客の志向を取り入れた広告
ソフトウェアデモンストレーション：ネイティブアプリケーション開発前のプロトタイプ作成や、動作するソフトウェアのデモ版作成
コンテンツの作成方法
Directorでは、タイムライン上に画像や音声を配置し、アニメーションを作成するのが基本です。マウスのクリックやカーソルの動き、フレームの再生などのイベントを検知して、任意のタイムラインにジャンプさせることで、メニューやゲームなどの機能を実現していました。これらの機能はGUIで設定可能でしたが、内部的にはLINGO（リンゴ）というスクリプト言語が自動的に挿入されていました。
LINGOは、より複雑な制御やタイムラインに依存しないアニメーションの作成を可能にするスクリプト言語です。公式マニュアルでは、タイムラインやイベント検知によるコンテンツ作成を分かりやすく説明していた一方で、LINGOスクリプトの説明は、英語版のサンプルプロジェクトを参照しながら習得する必要がありました。このサンプルプロジェクトは、マルディグラや宮廷道化師をテーマにしたものであり、英語での説明、当時のオブジェクト指向の普及状況などから、LINGOの習得は困難でした。
XTRA
XTRA（エクストラ）と呼ばれるDLLによるネイティブバイナリープログラムを呼び出す仕組みがありましたが、OSのビット数や種類によって互換性がなく、実行中の切り替えができないため非常に使いにくいものでした。また、開発仕様の公開も限定的でした。ローカルファイルへの入出力を行うためのXTRAも存在しましたが、動作プラットフォームに強く依存していたため、マルチプラットフォーム対応にするには、プラットフォームごとに完全に別のコンテンツを作成する必要がありました。
バージョン履歴
1985年: MacroMind VideoWorks
1987年: MacroMind VideoWorks II
1988年: MacroMind Director 1.0
1988年: MacroMind Director 2.0
1989年: MacroMind Director 3.0
1993年: Macromedia Director (バージョン3.1.3)
1993年: Macromedia Director 4
1996年: Macromedia Director 5
1997年: Macromedia Director 6
1998年: Macromedia Director 7
Macromedia Director 7 Shockwave Studio
Macromedia Director 7 Lite
2000年: Macromedia Director 8
Macromedia Director 8.5 Shockwave Internet Studio
2002年: Macromedia Director MX (バージョン9)
2004年: Macromedia Director MX 2004 (バージョン10)
(2005年12月3日、Adobe SystemsがMacromediaを買収)
2008年: Adobe Director 11
2009年: Adobe Director 11.5
2013年: Adobe Director 12.0
Directorは、2017年1月27日に販売とサポートが終了しました。
外部リンク
Adobe Director home
Laugh Jester at Mardi Gras Macromedia Director 5.0 Sample Movie Lingo Lore Adobe Macromind Cast
Mardi Gras (Macromedia Director 5.0 Sample Movie)
Macromedia Director 5 (1996) promo
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