Amazon Silk

Amazon Silk（アマゾン シルク）は、AmazonがFireタブレットやAmazon Fire TV向けに開発したウェブブラウザです。このブラウザは、高速な応答性を実現するために、処理の一部をAmazonのクラウドサーバーで行うという特徴的なアーキテクチャを採用しています。フロントエンドにはBlinkを使用しており、スムーズなブラウジング体験を提供します。

特徴と機能

クラウドを活用した処理: Amazon Silkの最大の特徴は、分割アーキテクチャを採用している点です。これにより、ウェブページのレンダリングやJavaScriptの実行などの処理を、デバイス側だけでなくAmazonのクラウドサーバーでも行うことが可能になります。この分散処理により、デバイスの処理負荷を軽減し、高速なブラウジングを実現しています。
Chromiumベースのインターフェース: ブラウザのインターフェースは、Chromiumを基盤としており、ユーザーフレンドリーで直感的な操作が可能です。これにより、他のブラウザからの移行もスムーズに行えます。
プリインストールと自動更新: Amazon Silkは、すべてのKindle Fire/Fire/Fire TVデバイスにプリインストールされており、常に最新バージョンに自動更新されます。これにより、ユーザーは常に最新の機能とセキュリティアップデートを利用できます。
Fire TVへの対応: 2017年12月にはFire TV向けの提供が開始され、同時期にAndroid版もリリースされました。Android版のシステム要件はAndroid 5.1.1以降となっています。

詳細な機能

高速化技術: GoogleのSPDYプロトコル（現在はHTTP/2|HTTP_2に進化）を採用し、ウェブページの読み込み速度を向上させています。このプロトコルにより、サーバーとの通信効率が改善され、ウェブページの表示が迅速化されます。
プライバシー設定: クラウドサーバーでの処理は、設定によって有効または無効にすることができます。これにより、ユーザーは自身のプライバシーに関する懸念に対応できます。データの処理方法を制御することで、安心してブラウジングを行うことができます。
隠しオプション: ブラウザのバージョン表示部分を7回程度連打することで、隠しオプションが有効になる機能が搭載されています。このオプションは、開発者向けの機能など、通常はアクセスできない設定を変更するためのものです。

その他

名称変更: Fire OS3以降、ブラウザの名称表示が「Silkブラウザ」に変更されました。
市場占有率: Amazon Silkは、Amazon Kindle Fire/Fireタブレット/Fire TVでのみ採用されており、ウェブブラウザ市場の占有率は約1%程度です。
互換性の向上: リリース当初はウェブサイトやプログラムとの互換性に課題が見られましたが、バージョンアップを重ねるごとにAndroid標準ブラウザと同程度まで向上しています。
アンインストール不可: Amazon Silkはアンインストールすることができず、Amazon App Storeで代替ブラウザの配布もありません。
名称の由来: Amazon Silkの名称は、Kindle FireとAmazon EC2サーバーをつなぐ様子を「目に見えない絹糸が2つのものを極めて頑丈につなげる」ことに例えて名付けられました。

関連情報

関連項目: HTML5、Opera Mini、Opera Turbo、MarioNet分割ウェブブラウザ
外部リンク: 公式ウェブサイト

Amazon Silkは、Amazonデバイス向けに最適化されたウェブブラウザとして、高速性と使いやすさを追求しています。クラウドを活用した処理や、Chromiumベースのインターフェースなど、独自の技術と工夫が凝らされています。

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