Kindle Fire

Kindle Fireは、Amazon.comが開発したAndroidベースのタブレット型電子書籍リーダーです。特徴として、Amazonが独自に開発したFire OSを搭載し、7インチのIPS液晶タッチディスプレイを備えている点が挙げられます。2011年9月に第1世代が発表され、同年11月に発売されました。その後、2012年には第2世代がリリースされ、日本でも同年12月に発売されています。

このデバイスは、Amazon AppstoreやKindleストアにアクセスすることで、電子書籍の購入だけでなく、音楽や映画などのデジタルコンテンツも楽しむことができます。上位モデルにはKindle Fire HDが存在します。

価格と販売動向

初代Kindle Fireの価格は199ドルで、製造コストは150ドルから201.70ドルと推定されています。第2世代は159ドル（日本では12,800円）で販売されました。アナリストの予測によれば、Kindle FireはAppleのiPadに対する強力な競合製品となり、他のAndroid端末メーカーの売上を減少させる可能性があるとされていました。Amazonのビジネス戦略は、端末自体を売るのではなく、Kindle Fireを通じてデジタルコンテンツの販売で利益を上げることに重点を置いています。

発売後、Kindle Fireは驚異的な売れ行きを見せ、2011年11月25日の発売から12月にかけて、1週間あたり100万台以上が販売されました。調査会社IDCは、2011年第4四半期に約470万台が販売されたと推定しています。また、Kindle Fireの好調な売れ行きは、Amazonの第1四半期の業績を押し上げ、時間外取引で株価を上昇させる要因となりました。

ハードウェア

Kindle Fireには、8GBの内蔵ストレージが搭載されています。これは、約80本のアプリケーション、10本の映画、800曲の音楽、または6000冊の電子書籍を保存するのに十分な容量です。ただし、実際にコンテンツの記録に使用できるストレージ容量は、第1世代が6.5GB、第2世代が5.5GBとなっています。

バッテリーに関しても、Amazonの技術仕様によると、4400mAhのバッテリーを搭載しており、第1世代では最大8時間の読書、または7時間半のビデオ再生が可能で、第2世代では8.5時間のバッテリー持続時間があります。ディスプレイのサイズは、標準的な4×6インチの写真よりもわずかに小さい程度です。

ソフトウェア

初代Kindle Fireは、Android 2.3をベースにカスタマイズされたOSで動作します。Amazon Appstoreへのアクセスには、クラウドベースの「Split Browser」であるAmazon Silkが使用され、ウェブページのレイアウトやレンダリングが高速化されています。このブラウザは、GoogleのSPDYプロトコルを採用し、デバイス側での処理を減らすためにAmazon EC2を活用しています。

ユーザーは、Amazon Cloudのウェブストレージプラットフォームを通じて、Amazonデジタルコンテンツを無料で保存することができます。また、Amazon Cloud Driveの5GBのミュージックストレージや、Gmail、Yahoo!、Hotmailなどのウェブメールに対応した内蔵Eメールアプリケーションも利用できます。Amazon Prime会員は、映画やテレビ番組を無制限に視聴できるフリートライアル期間も提供されています。

2012年5月3日時点で、Kindle FireのOSバージョンは6.3.1_user_4107720となっています。

Kindle Fireでサポートされているファイル形式は、Kindle Format 8 (KF8), Kindle Mobi (.azw), TXT, PDF, 無制限のMOBI, PRC, Audible (AA, AAX), DOC, DOCX, JPEG, GIF, PNG, BMP, non-DRM AAC, MP3, MIDI, OGG, WAV, MP4, VP8など多岐にわたります。

なお、Kindle FireでのUSB転送速度が遅いのは、Amazon独自のUSBドライバを使用しているためです。たとえば、800MBのビデオファイルを転送するのに3分以上かかる場合があります。

競合製品

Kindle Fireの競合製品としては、Nook Tablet、Google Nexus 7 (2012)、Koboなどが挙げられます。

外部リンク

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