SPDY

SPDY（スピーディー）は、Googleによって提唱されたWeb通信プロトコルであり、既存のHTTPプロトコルを基盤として高速化を目的として開発されました。HTTP/2|HTTP_2の基礎となったプロトコルとしても知られています。SPDYの最終バージョンはSPDY Protocol - Draft 3.1であり、SPDY/4はHTTP/2|HTTP_2に吸収される形でその役割を終えました。

SPDYの概要

SPDYは、HTTPを基にして通信速度の向上を目指したプロトコルです。主な特徴として、TLS接続上にセッション層を追加し、単一のSPDYセッションで複数のリクエストを同時に送受信できる点が挙げられます。これにより、従来のHTTPでは複数の接続を必要とした通信を、効率的に行うことが可能となりました。また、ブラウザがWebページを表示する際に、必要なデータを先読みする機能も実装されており、ユーザーエクスペリエンスの向上に貢献しています。

セキュリティ面では、Application-Layer Protocol Negotiation (ALPN) というTLSの拡張仕様をベースにしているため、HTTPSを介した通信が必須となります。これにより、データの暗号化とセキュリティの強化が図られています。

2015年時点では、SPDYは独立したプロトコルとして、一部のWebブラウザやWebサーバで実装が進められていましたが、後継プロトコルであるHTTP/2|HTTP_2がIETFによってRFC 7540として標準化されたことにより、その役割はHTTP/2|HTTP_2へと移行しつつあります。

SPDYは以下の4つのバージョンが開発されました。

SPDY/1: 2009年11月11日発表
SPDY/2
SPDY/3
SPDY/3.1

実装状況

SPDYは、クライアントとサーバの両方で実装が進められました。

クライアント

以下のWebブラウザは、デフォルト設定でSPDYを用いた通信をサポートしていました。なお、SPDY/4はHTTP/2|HTTP_2に統合されたため、HTTP/2|HTTP_2の情報を参照する必要があります。

Internet Explorer 11: SPDY/3に対応していましたが、Windows 7およびWindows Server 2008 R2ではサポートされていませんでした。
Google Chrome・Chromium 10以降: SPDYおよびNPNのサポートを終了し、HTTP/2|HTTP_2およびALPNに移行しました。
Mozilla Firefox 11: SPDY/2をサポート（バージョン13からデフォルトで有効）、15からSPDY/3、27からSPDY/3.1をサポート。バージョン28以降はSPDY/2のサポートを終了しました。
Safari 8以降: OS X 10.10およびiOS 8以降のサードパーティー製アプリを含む環境で、SPDY/2、3、3.1をサポートしました。
Opera 12.10以降
Androidブラウザ 3.0以降
cURL

サーバ

以下のサーバソフトウェアは、SPDYをサポートしていました。

Jetty 7.6.2および8.1.2以降
node.js
Apache mod_spdy
Apache Tomcat 8
nginx 1.5.10以前: SPDY 2、1.5.10以降: SPDY 3.1をサポート
F5 Networks BIG-IP
LiteSpeed Technologies OpenLiteSpeed 1.1: SPDY 2および3、1.2.7以降: SPDY 3.1をサポート

まとめ

SPDYは、Webの高速化に大きく貢献したプロトコルであり、HTTP/2|HTTP_2の開発に大きな影響を与えました。その技術的な特徴は、多重リクエストの効率化、先読み機能、そしてセキュリティの向上に焦点を当てており、当時のWeb体験を大きく改善しました。現在ではHTTP/2|HTTP_2にその役割を譲りましたが、SPDYの歴史は、Web技術の進化において重要な位置を占めています。

SPDY - The Chromium Projects

もう一度検索