An-218 (航空機)

An-218: アントノフが提案した大型双発旅客機

An-218は、ウクライナのアントノフ設計局が1991年に提案した大型双発ターボファンジェット旅客機です。この機体は、1991年に行われたパリ航空ショーで初めてお披露目されました。当初、3発式の設計が計画されていたものの、後に双発型に変更され、より効率的な設計が追求されました。

An-218の最初の計画では、350名の乗客を運ぶことができる旅客機として設計されており、主に軽量化や耐久性の向上を図るために複合材料が積極的に使用される予定でした。また、An-218は複数のバリエーションが計画されており、基本的な100型のほか、長距離飛行を可能にする200型や300型、さらには400席クラスの400型が検討されていました。これらの設計は、エアバスA340やボーイング777と同等の大型旅客機を目指したものでした。

しかし、1990年代中頃の経済情勢の影響により、An-218の開発は困難を極めました。当初、1994年には初飛行を予定していたものの、計画は中断されたまま進展を見せることはありませんでした。実際に制作されたのは実物大の木製模型のみでしたが、現在その模型も残ってはいない状況です。

An-218の設計は約80%まで進んでいたとされていますが、金融上の問題から作業が停止し、最終的な完成には至りませんでした。アントノフにとって、An-218は初のワイドボディ機づくりのチャレンジであり、このプロジェクトを通じて新しい技術や設計思想が追求されていました。

仕様概要

An-218-100型の主要諸元

• - 乗員数: 2名
• - 定員: 350名
• - 全長: 59.79 m
• - 翼幅: 50.00 m
• - 翼面積: 270 m²
• - 空虚重量: 90,000 kg
• - 最大離陸重量: 170,000 kg
• - 動力: ZMKB イーフチェンコ＝プロフレース D-18T1 ターボファン（255 kN × 2）

性能

• - 最大速度: 870 km/h
• - 巡航速度: 800 km/h
• - 航続距離: 11,500 km

結論

An-218は、アントノフ設計局が大型旅客機市場に挑戦するために開発した意欲的なプロジェクトでしたが、資金面や経済状況の影響で実現を果たせなかったことが悔やまれます。この機体の革新的な設計や技術は、今後の航空機開発においても多くの示唆を与えることとなるでしょう。

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