AnyDVD(エニーディーブイディー)とは
AnyDVDは、RedFox社が開発・販売している常駐型のDVDリッピングソフトウェアです。以前はSlySoft社によって開発・販売されていました。このソフトウェアは、
DVD-Videoの様々な
コピーガードを無効化する機能を持っています。
概要
AnyDVDは、
DVD-Videoに施されているPUO(ユーザオペレーション禁止)や、CSS(コンテンツスクランブルシステム)、Macrovision、ARccOS、RipGuardといった様々なコピーコントロールシステムを解除する目的で使用されます。
Microsoft Windows上で動作し、
デバイスドライバとして機能します。他のDVDリッピングソフトウェアやライティングソフトウェアと連携して、暗号化されたDVDの映像をリッピングする際に利用されます。
さらに、映像再生時のPUO解除、ドライブの回転速度調整(騒音低減)、リフレッシュレート調整など、便利な機能も備えています。類似のソフトウェアとしては、フリーウェアのDVD43や
シェアウェアのDVDFab Passkeyなどが挙げられます。
AnyDVDの上位版としてAnyDVD HDがあり、こちらは
Blu-ray Discや
HD DVDに採用されているAACSやBD+といった
コピーガードにも対応しています。これにより、市販のBlu-rayビデオや、デジタル放送をBDレコーダーで録画したディスクのリッピングも可能です。
また、AnyDVDの
マスコットキャラクターは赤い
キツネであり、インターネット上では「
キツネ」や「フォックス」といった隠語で呼ばれることもあります。
歴史
SlySoft時代
2003年、SlySoft社はカリブ海の
アンティグア・バーブーダで設立されました。しかし、2016年2月、
アンティグア・バーブーダの法規制強化により、SlySoftのサイトは閉鎖され、開発も中断されました。当時、公式サイトには「法的規制により、SlySoftはすべての活動を停止しなければなりません。長年のご愛顧ありがとうございました」というメッセージが掲載されました。
SlySoftは、2007年から映画業界からの圧力があったことを明らかにしています。映画業界は、AnyDVDの
コピーガード解除機能を問題視し、AACS LA(コピーコントロール規格を策定する団体)と連携して、アメリカ合衆国の通商代表部まで動かしていたとされています。
SlySoftの本拠地である
アンティグア・バーブーダでは、アメリカの著作権法が適用されず、また
アンティグア・バーブーダの著作権法では
コピーガード回避が違法ではなかったため、対策を講じることができませんでした。しかし、2012年に
コピーガード回避を違法とする法律が制定され、AnyDVDもその対象となりました。2014年には、著作権法違反でSlySoftのオーナーに3万ドルの罰金が科せられました。
RedFox時代
SlySoftの閉鎖後、残されたスタッフによって新たなプロジェクト「RedFox」が立ち上げられ、
ベリーズのドメイン「RedFox.bz」で新サイトが開設されました。開発とサポートはRedFoxによって引き継がれることになり、2016年5月31日をもって旧Slysoftのソフトウェア
ライセンスは無効となりました。
2017年8月頃からは、決済に使用されるクレジットカードの不正利用が問題となっています。そのため、購入の際はVプリカなどのプリペイドカードでの決済が推奨されています。支払い方法はVISA、MasterCard、ビットコインに対応しています。
RedFox閉鎖
2024年5月24日を最後に、RedFoxの公式サイトにアクセスできなくなっています。過去にもサイトがダウンしたことはありましたが、今回はAレコードやMXレコードが削除されているため、開発チームとの連絡手段が失われた状態です。現在、サイトが一時的にダウンしているだけなのか、RedFoxが活動を停止したのか、詳細な状況は不明です。
脚注
関連項目
DVDFab HD Decrypter
DVDFab Passkey
DVD43
常駐型DVDリッパー