B65型超甲型巡洋艦

B65型超甲型巡洋艦について

B65型超甲型巡洋艦、通称超甲巡は、日本海軍が1940年代初頭に計画した艦艇で、元々は老朽化した金剛型戦艦の代艦として発表されました。この艦は特に夜戦での水雷戦隊の支援を目指して設計され、巡洋戦艦に匹敵する性能を誇るものでした。

計画の背景

日本海軍の艦隊運用では、主力艦隊同士の交戦に先立ち、敵艦隊に夜間から雷撃を行う特殊部隊の結成が重要視されていました。しかし、既存の高雄型重巡洋艦を旗艦とする場合の能力には限界があると認識されていました。特に司令部の収容力や通信機能の不足が問題視され、さらには重巡洋艦の火力でも敵の警戒部隊を突破できないとの判断が強まっていました。

そのため、改装された榛名型戦艦（旧金剛型）を使用し、高速戦艦として敵巡洋艦を撃破する計画が立てられました。しかし、金剛型戦艦自体の艦齢は25年に達し、早急な代艦の必要性が浮上しました。また、アメリカ海軍が強力な新型巡洋艦を建造していたことも、日本海軍の危機感を煽る要因となりました。

このような状況を受け、日本海軍は現代の艦隊において重要な能力を備えた艦を新たに設計する必要があると判断しました。これが超甲型巡洋艦計画の起源です。昭和16年には、第二次海軍軍備充実計画において2隻の建造が予定されましたが、航空母艦の重要性の高まりを受け、最終的にはこの計画から削除されることとなりました。

設計と艦型

B65型の外観は、大和型戦艦に非常に似ていることが特徴です。船体は平甲板型で、艦首の乾舷は高く、甲板には滑らかな傾斜が付けられていました。主砲は新型の31cm砲を搭載する予定で、これは当時のアメリカ海軍のアラスカ級巡洋艦に対抗するために開発されました。

艦は陸上運用の水上機を発進させるための設備も備えられ、艦載艇の扱いやすさも考慮されていました。高角砲としては新型の九八式10cm高角砲が搭載予定であり、近接対空火力も強化される計画でした。

防御力

本型の防御設計では、31cm砲弾や800kg爆弾に対する防御が強化される方向で計画されました。防御装甲は集中配置方式を採用し、舷側装甲も段階的に厚さが増すデザインが予定されていました。総じて、他国の同型艦に対抗するレベルではあったものの、戦艦としてはやや劣るとの評価がありました。

アメリカ海軍との関係

アメリカ海軍がこの時期に建造したアラスカ級大型巡洋艦は、他国の艦艇、特にドイツ海軍の影響を受けつつ、異なる目的で設計されていました。超甲巡は敵艦への迎撃をメインに考えられていた一方で、アラスカ級は主に護衛任務に重きを置いていました。両者の目的は異なるものの、そのサイズや性能の競争は海軍の設計思想に大きな影響を与えました。

結論

結局、B65型超甲型巡洋艦の建造計画は中止され、その実現を見ることはできませんでした。しかしその設計と構想は、日本海軍の艦隊戦力の向上に関する重要な研究の一環とされ、未完成ながらもその意義は大きいと評価されています。未実現ながら、超甲巡の計画は日本海軍の艦艇設計の進化に貢献するものでした。

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